日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。

2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。

先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。

食品ロスをいかに減らすかは、社会全体に突き付けられた課題だ。家庭だけでなく、流通や製造の段階でもロスは発生しており、食品を扱う企業には、廃棄を減らすことに加えて、発生した資源をどう生かすかという視点も求められている。

この課題に立ち向かおうとしている企業がある。神奈川県横浜市に本社を構える60年以上の歴史を持つコーヒーロースター、三本珈琲株式会社だ。

コーヒーを通じて食品ロスを「自分事」に

コーヒー製造の現場でも、製造工程で規格外となる豆や、生豆の輸送に使われる麻袋、豆の表面からはがれるシルバースキンなどが生じる。

三本珈琲では、製造機器の選別能力が高まったことでロスが増え、現場がそれに慣れることで「もったいない」と感じにくくなっていたことが、取り組みを考える一つのきっかけとなった。

転機となったのは2015年。三本珈琲は規格外コーヒーを非食品用途で近隣企業の資源として活用し、有価で取引する取り組みを始めた。廃棄するしかないと思われていたものにも、工夫次第で価値が生まれる。その経験を通じて、社内にも資源の可能性を捉え直す意識が広がっていった。

2021年にはサステナビリティ推進室を設置し、活動を組織化した。製造工場として「廃棄物ゼロ」を掲げる中で着目したのが、食品ロスそのものを学びの材料にするという発想だ。廃棄量を減らすだけではなく、食品ロスを「教材」に変え、それに触れた人が食品ロス削減やアップサイクル、資源循環について考え、自らの行動を見直すきっかけをつくる。

こうして2021年、循環型食育活動が始まった。食品ロスという大きな課題を、日々の暮らしから遠い数字だけで捉えるのではなく、身近なコーヒーを入り口に自分事へ変えていく。それが三本珈琲の食育の出発点だ。

実物に実際に「触れる・考える」体験を
【関連記事】