Leo Marchandon Gabriel Stargardter

[パリ 12日 ロイター] - フランスで多数のスーパーマーケットの冷蔵・冷凍設備を標的にした大規模なサイバー攻撃が行われ、冷蔵庫や冷凍庫の温度が一晩で最高50度まで上昇した。これにより食品の損失や火災が発生し、当局が調査を進めている。

パリ検察当局は12日に「フランス国内の複数の大手食品小売業者のネット接続型冷蔵設備に影響を及ぼす大規模攻撃」が起きたと発表した。

ルコルニュ首相は国家情報システム安全庁(ANSSI)に調査を指示した。首相府関係者によると、当局は欧州各国と連携し、他国への影響の有無やフランス企業へのリスクを調べている。

サイバー脅威分析会社セコイア・スレット・ディテクション・アンド・リサーチのフェリックス・エメ上級アナリストは、スペイン、ポルトガル、ポーランド、ドイツ、ベルギーでも被害が確認されていると述べた。

フランスでは小売り大手カルフールが、約80店舗が被害を受けたと明らかにしたほか、約490店舗を運営する食品スーパー大手モノプリは、全店舗の約5%で影響が出たと説明した。また食品スーパーのインターマルシェを傘下に持つレ・ムスクテールによると、約150店舗の冷蔵設備が一晩のうちに約6時間にわたり50度まで加熱された。広報担当者は健康リスクを避けるため影響を受けた食品を全て廃棄したと述べた。

パリ中心部のインターマルシェでは、従業員らが解凍された冷凍食品を大型ごみ容器に次々と廃棄する様子が確認された。溶けたアイスクリームが壊れた容器から路上に流れ出る場面もあった。

スーパー大手スーパーUを運営する協同組合Uのドミニク・シェルシェ最高経営責任者(CEO)は、自社グループも攻撃対象になったと明らかにするとともに「生鮮食品の保存と国民への食料供給に不可欠な設備を標的にすることは極めて重大で、前例がない」とXに投稿した。

インターマルシェのティエリ・コティヤールCEOはBFMテレビで「前例のない攻撃」による損失は全国で1日当たり数千万ユーロ規模に上るとの見通しを示した。

欧州小売業団体ユーロコマースのクリステル・デルベルゲ事務局長は「この事案はサプライチェーン全体の強靱性の重要さを浮き彫りにした」と指摘した。

スーパーの冷蔵設備は通常、店舗内の冷蔵・冷凍機器全体を管理する制御盤で運用されており、保守会社が遠隔管理できるようインターネットに接続されている。首相府関係者によると、ANSSIはデンマークのダンフォスが供給したソフトウエアに脆弱性があったことを確認した。

ダンフォスは声明で、フランスで発生した一部の冷凍・冷蔵管理システムへの攻撃を把握しているとした上で、被害設備は「旧式の制御ソフト(ファームウエア)」を使用していたと説明した。同社は利用者に対し、最新ファームウエアへの更新と旧世代システムの移行を従来から推奨していたとしている。

サイバーセキュリティー企業クラロティの調査チーム「チーム82」は8月9日、ダンフォス製コントローラー「AK-SM 800A」の脆弱性に関する調査結果を公表。ダンフォスが実施したソフトウエア更新により、認証回避や不正なコード実行につながる問題が修正されたとしていた。

フランス小売業連盟(FCD)は声明で、ダンフォスに対し「完全な情報開示」を求めた。影響を受けた店舗の一部は既に営業を再開しているとしている。

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