Tassilo Hummel Sophie Yu
[パリ/北京 9日 ロイター] - イラン戦争の影響や米国の個人消費減速の兆しに直面する高級ブランド各社に、中国による富裕層への課税強化という新たな懸念材料が加わった。
こうした問題が重なり、来週から発表される第3・四半期決算は低調な内容となりそうだ。3年にわたって低迷が続く高級品業界が、かつての勢いを取り戻せないのではないかとの懸念も強まっている。
仏LVMHとエルメスの株価は、いずれも年初から約40%下落し、数年ぶりの安値圏で推移している。ケリングも29%下落しており、業界に対する投資家の悲観が強まっていることがうかがえる。
中国の新たな税制では、海外の信託を利用して資産への課税を回避していた富裕層は、22日までに過去数年分の未納税額を申告し、納付しなければならない。これにより消費が冷え込む恐れがある。
高級品業界向けコンサルティング会社トリニティ・アジアの責任者アレクシ・ボノム氏は、20%の課税が超富裕層の消費を直撃していると指摘した。「納税期限までは資金繰りに困る人が出てくるかもしれない」と述べた。
バーンスタインのアナリストはリポートで、中国本土の夏のショッピングモールのデータは「成長の急減速」を示したと指摘した。
業界関係者によると、中国本土のショッピングモールの第3・四半期の販売状況は、ブランド間の格差が大きいものの、全体として低調な状況が続いた。
シティが集計する米国のクレジットカードによる高級品の支出額は、消費者心理が全般的に弱まる中、9月に3カ月連続で減少した。
数少ない明るい材料の一つが高級宝飾品だ。富裕層の間で、金などの貴金属を好む傾向が強まっており、リシュモン傘下のカルティエなどのブランドが恩恵を受けている。
投資家にとって、12日のLVMHの決算発表が業界の動向を知る最初の機会になる。アナリストは、同社の四半期売上高を前年同期比1%増の185億ユーロ(207億ドル)と予想している。ケリングとエルメスは22日に決算を発表する。