テストから事業化まで伴走し、再資源化を続けられる体制へ
「私たちが目指すのは『汚れていても、混ざっていても、もう一度使える未来』です」と語るのは、代表取締役社長の木口達也氏。その実現に向けてとりわけ力を入れているのが、企業から持ち込まれた廃プラスチックを実機で処理し、再資源化の可能性を検証するテストセンターだ。
同社のテストセンターでは、実機による処理に加え、自社で粉砕・洗浄・選別・脱水・造粒までの装置を一貫して開発・製造してきた知見を生かし、「どの設備をどう組み合わせれば事業化できるか」まで具体的に提案する。企業は、数千万円規模のリサイクル機械を導入する前の「見極めの場」として利用することができる。
2017年頃に年間約70件だったテスト依頼は、現在では約250件に増加。需要の高まりに応えるため、2020年には本社に「サンプルテストフロア」を整備。2023年には研究開発複合施設「MIRAI Labo」が完成した。
さらに豊田通商と連携し、2025年、三重県に「PLASTIC Lab.」を開設。同施設では、廃プラスチックのリサイクルテストに加え、リサイクルに必要な設備選定支援、再生材の販売先確保等バリューチェーン構築支援など、事業化まで一気通貫で支援する体制を整えている。
テストを経て、処分費の削減につながった例もある。ある食品メーカーでは、豆腐が付着した容器を粉砕・洗浄・脱水する設備を導入。廃プラスチックを販売可能な資源へと転換し、結果的に、年間の処分費約1000万円の削減に成功したという。
「『テストをして終わり』ではなく、実際の設備導入や廃棄物処理のコスト構造の転換にまで踏み込めることが、当社のテストセンターの価値です」と木口氏。技術を提案するだけでなく、事業として続けられる形にする。そのための検証が、テストセンターで日々行われている。
技術力の背景には、代表自らが欧州の先進的なリサイクル現場を視察し、そこで得た知見を積極的に取り入れてきた歩みがある。そんな同社は2025年、欧州と日本のリサイクルの取り組みを比較し、互いに学び合う場として、国際フォーラム「Closed Loop Recycle Forum」を開催。欧州と日本の専門家を招き、資源循環の実務レベルの課題や展望を共有した。
今後はMIRAI LaboとPLASTIC Lab.の連携を強化し、年間300件以上のテスト依頼に対応できる体制を目指す。2029年には「サーキュラーエコノミー研究センター」の設立を計画し、大学や高校との連携を通じた次世代の環境リーダー育成にも取り組む予定だ。長期的には、2035年までに日本のマテリアルリサイクル率を30%以上に高める一助となることを目標に掲げる。
一つひとつの廃プラスチックについて、企業とともに再利用の可能性を探る。再資源化に取り組む企業の裾野を広げる日本シームの取り組みは、「使い捨て前提の社会」から「使い続ける社会」への転換を大いに支える実践例として、今後ますます重要性を増していくだろう。
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