Kentaro Okasaka

[東京 7日 ロイター] - 2026年のノーベル化学賞を受賞した硤合憲三・東京理科大名誉教授(76)は7日、都内の同大で記者会見し、世の中には他に重要な研究が多数あると指摘しつつ、自身の成果が「受賞できても文句は言われないとは(思っていた)」と語った。「研究に対する意味合い、位置付けも今回の受賞で認識していただけた。非常に喜んでいる」と話した。

今年の化学賞は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒作用の発見」を理由に硤合氏と仏パリ第11大学のアンリ・カガン氏(95)が共同で受賞した。非対称な「鏡像」分子を巡る長年の謎を解明し、医薬品製造において重要な発見をもたらしたことが評価された。

硤合氏は、尊敬する著名なカガン氏とともに受賞したことをとりわけ喜んでいると語った上で、「暗い地面を頭にヘッドライトだけを着けて、そこをずっとたどって行っているような気分」だったとこれまでの研究を振り返った。「もちろん完全にまだ解明したわけではなく、まだまだわからない面白いことがあるはず。今後ともそういう分野の研究が進むように微力ながら尽力したい」と述べた。

また、受賞により「興味を持たれる方はもちろん、必ずしもそうほどでもなかった方にも、ちょっと気を向けていただけるじゃないかな」「日本は有機合成(研究)の非常に盛んな国。これからますます皆さんが研究成果を出していただけるきっかけになればという風に考えている」とも述べた。

硤合氏は広島県出身。1979年に東京大学大学院で博士号を取得した。米ノースカロライナ大学で研究し、帰国後の1981年から理科大で教壇に立った。

硤合氏は「傍から見たら苦しいことが続いていたかもしれないけど、全然本人はそうは思ってない。新しい事実がどんどん見つかるわけですからね。それはそれで楽しいというか、感動したことはある」と答えた。理科大の教職員や学生などへの感謝も口にした。研究成果について問われると、幾度も手ぶりを交えて説明する姿が目立った。

一方、研究成果が実際にどういう形で応用されているのかについて問われると「応用ができるに越したことはないが、化学賞だけ皆さん、応用が何にできるかって聞かれるが、物理学賞、宇宙のことってあんまり応用って質問されませんよね。応用オンリーではないとかねがね思っている」と答えた。 日本人としての受賞についての質問には「日本人かどうかというところはあまりこだわりを持っていなくて」と話した。

受賞の連絡は、夕方から夜ごろ、近所のスーパーに1人で食材を買いに出かけている時に電話で受けたという。

(岡坂健太郎 編集:久保信博)

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