金融取引や国家機密も、すべて解読できるようになる?
ガンベッタは、一般の人々が量子コンピューティングを初めて実感するのは微分方程式の分野だと考えている。そこから流体力学へ、さらに予測へと道がつながっているからだ。
量子コンピューターによって、現時点では望ましい精度で解明できないことが計算できるようになれば、分子が体内でどのように働くかをシミュレーションして創薬に役立てたり、気象を予測したりすることが可能になるだろう。
そのいずれも、これまでの量子技術への投資が念頭に入れていなかった用途だ。量子技術の開発を支援してきた政府機関の最大の関心事は、ベル研究所の数学者ピーター・ショアが1994年に指摘したこと、つまり十分な規模の量子コンピューターがあれば、オンライン通信や金融取引や国家機密を保護する暗号は、事実上全て解読できるようになるというものだ。それが可能になる日は「Qデー」と呼ばれるが、実現はまだ遠い先の話と考えられている。
だが、「そのようなマシンが登場するという期待こそが、NSAがIBMやハーバード大学などの開発を支援し始めた理由だ」とビアクックは語る。その中核にあるのは、敵より先に暗号を解読できる量子コンピューターを開発しなければという焦りだ。「中国に先を越されないようにしたいが、その間に私たちには何ができるのだろうか」
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