IBMの先進的量子プロセッサ
IBMの先進的量子プロセッサ VICTORIA WILL

「量子優位性」とは

ファインマンの発言から45年。量子コンピューティング分野を牽引するIBMと、同社が10年かけて集めた多数のパートナーは、今まさに決着をつけようとしている。10年近くにわたる公の場での予測を通じ、この技術が学問上の興味だけで終わらないことを証明するものに名前が付けられた。それが「量子優位性」。その実現の年とされたのが、2026年だった。

簡単に言えば量子優位性とは、量子コンピューターが現実の問題を、最高性能の古典コンピューターより速く、安く、あるいは正確に解けるようになることだ。性能を誇示するためのパズルではなく、本当に答えが必要な問題である。

具体的に何を量子優位性とするのか、それをどう判定するのかについては議論が続く。だが1つ確かなのは、量子優位性が達成されたという主張は今やセミナー室で議論されるのではなく、公の場で検証され始めているということだ。

量子の奇妙さ(この分野が生まれた理由でもある)は、この考え方が登場して以来、人々を悩ませてきた。アルバート・アインシュタインは人生後半の30年間、量子力学だけでは宇宙の仕組みを完全には説明できないと主張し続けた。

量子力学によれば2つの粒子は遠く離れていても、一方を測定すると他方の状態が瞬時に定まる。アインシュタインは、これを「不気味な遠隔作用」と揶揄した。

数学の議論をしているだけだった