義理は果たした──。米中首脳会談を終えてワシントンを後にする中国の習近平(シー・チンピン)国家主席の表情は、そう言っているかに見えた。気が進まないが、挨拶しなければならない高齢の親戚宅に、渋々立ち寄ったかのような表情だ。
無理もない。9月24日のドナルド・トランプ米大統領との会談は、5月に北京で開かれた米中首脳会談の返礼として開かれたものだ。大方の予想どおり、貿易面でも台湾問題でも実質的な合意はなく、トランプによる習と自分への称賛ばかりが会場に響いた。
いつもならトランプを絶賛するFOXニュースも、今回はおとなしかった。中国国営メディアも、週明け28日には話題にしなくなっていた。
とはいえ、あらゆる方面で利害が衝突する現在の米中関係を考えれば、何もないのは良いことなのかもしれない。
昨年スイスで貿易交渉に臨んで以来、米中の通商代表チームが驚くほど良好な関係にあることも助けになった。今回の会談で計600億ドル規模の関税障壁縮小に合意できたのは、そのおかげだろう。
一方、衝撃が走ったのは、デービッド・パーデュー駐中国大使が9月27日、トランプが習にアメリカ製武器の売却を提案したと示唆した時だ。
すぐにホワイトハウスが否定したものの、トランプがそのような申し出をした可能性は十分ある。トランプは重要人物だと考える相手に気に入られようとして、実現可能性の乏しい(そもそも中国に武器を提供するのは違法だ)提案をすることがよくある。
だが、たとえ政府が否定したにしても、こうした発言が飛び出すこと自体が、トランプに期待してきた対中強硬派には面白くない。