Gertrude Chavez-Dreyfuss

[ニューヨーク 30日 ロイター] - 人工知能(AI)企業による資金調達が、低格付け企業が利用する「レバレッジドファイナンス」分野にも広がっている。だが投資家は、将来の収益が実証されていない事業を警戒し、高いリターンを要求している。

レバレッジドファイナンスは主に、ジャンク債(高利回り債)とレバレッジドローンで構成される。ゴールドマン・サックスによると、AI関連のレバレッジドファイナンスは今年に入ってから880億ドルに達し、その大部分を米国の発行体が占めた。アナリストによると、2025年1―11月はAI関連のレバレッジドファイナンスが200億ドルにとどまっていたことが、ニューバーガー・バーマンのデータで示されている。

投資家は現在、設立間もない企業の資金調達に警戒感を強め、売り上げ見通し、担保価値、そして実際にどれほどの負債に耐えられるかを疑問視している。折しもクレジット市場では、より格付けの高いAI発行体が相次いで起債し、米国債市場では全年限で利回りが上昇している。

カタリスト・ファンズの債券担当シニア・ポートフォリオ・マネージャー、ラリー・ホルツエンサラー氏は「高利回り債の投資家は、どれほどのキャッシュフローが見込まれ、それがいつ入ってくるのか、そして入ってこない確率はどれくらいかを把握したがる」と語る。投資家が要求するリターンが上昇しているのは「全てが順調に進んでも元本が償還されるだけである一方、事業が失敗すれば損失を被るのは債権者だ」という事実を反映した動きだと説明した。

<限られるリスク許容度>

市場参加者によると、AI関連クレジットの発行は増加しているが、全体的なリスク許容度は低いままだ。レバレッジドファイナンスの買い手は、投資適格級の一歩手前であるダブルB格など、比較的質の高い借り手に集中している。特に、長期契約、有形資産、確立した顧客層に裏打ちされた予測可能な収益源を持つ発行体への需要が最も強い。

BNPパリバのレバレッジドファイナンス部門責任者、エリン・ブラウン氏によると、データセンター事業はそうした質の高いカテゴリーに分類され、高利回り債市場を力強く支えている。

ブラウン氏は、高利回り債の発行規模は前年比で「ほぼ横ばい」であり、「データセンターによる新規資金調達がなければ、発行高は前年比で大幅に減少していただろう」と語った。

BNPのデータによると、AIインフラ事業の高利回り債発行は今年これまでに400億ドルと、2025年通期の120億ドルから急増している。

しかし、信用格付けがさらに低くなると調達コストは一段と上昇するため、AI企業がずっと低い格付けでの資金調達にまで足を踏み入れる可能性は小さい。アナリストによるとBBプラス格の発行体でさえ利回りは約9―10%に達しており、それより格付けの低い借り手では14―15%を要求される可能性がある。

一例としてBBプラス格付けを有するソフトバンクグループ は今月資金調達をしたが、開示資料によると3.5年債で8.625%、5.5年債で9.25%、7.5年債で9.75%の利回りを支払った。アナリストらは、これらは通常、格付けが非常に低い企業が支払う利回り水準だと指摘している。

<投資には制約>

また、レバレッジドファイナンスの投資家は、投資適格級の投資家に比べてずっと大きな制約を抱える。

投資適格級の投資家は、高格付けのハイパースケーラー(超大型クラウド事業者)が発行した債券を大量に吸収できるが、AI関連の高利回り債やレバレッジドローンを買う投資家は、リスクの高い借り手への投資比率を制限するポートフォリオ規定などがある。

ピムコ(PIMCO)のマルチアセット・クレジット・ストラテジスト、ロトフィ・カルイ氏は最近の調査レポートで、リターンは契約によってほぼ決まっている一方、リスクは高水準の負債からプロジェクトの遅延、技術の急速な変化まで多岐にわたり、「根本的に非対称だ」と言及した。

レバレッジドローンの最大の買い手はローン担保証券(CLO)の運用者だ。モーニングスターの債券・マルチアセット・インデックス担当シニア・プロダクト・マネージャー、エリザベス・テンプルトン氏は「CLOの運用者は特定銘柄への警戒感を強めており、投資前にあらゆる要素を確実に精査するようになっている」と話した。

そうした警戒感を浮き彫りにする事例として、特定目的事業会社のゼニス・アークがデータセンター建設資金を調達するため8月に発行した社債は、発行価格から7ポイント以上も下落した。これはペンダー・ファンド・マネジメントが8月下旬に投資家へ送った書簡で分かっている。

カタリストのホルツエンサラー氏によると、業界では最近「来年の売り上げ見通しはどうですか?分かりませんが、とにかく大きくなります」というジョークが流行している。同氏は「クレジット投資家にとって、借り手から返ってくる答えとしてこれは最悪だ」と語った。

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