Parisa Hafezi
[ドバイ 1日 ロイター] - イランが、米国が大規模な軍事攻撃を再開した場合に備え、より広範で強力な報復を準備していることが分かった。複数の関係筋が明らかにした。一方で外交努力も続けているが、イラン当局者らは内々では成功の可能性は低いとみている。
こうした計画の背景には、協議を通じて事態の悪化を回避しようとする一方、米国が軍事作戦を再開すれば、前回より強力に対応しなければならないとの指導部の確信がある。
イラン高官3人と協議に詳しい関係者1人によると、軍幹部は攻撃対象を米国関連の資産から、米軍の作戦を支援する国々にまで広げ、場合によっては中東域外も対象とする計画を検討している。
ペゼシュキアン大統領が先週ニューヨークから帰国して以降、軍幹部や政府高官は、米国が再び攻撃した場合の報復の範囲や時期を重点的に検討してきた。
最終決定には至っていないが、双方に妥協する意思が見られない中、計画策定が本格化している。
米国とイスラエルによる2月28日の攻撃で始まった紛争は7カ月に及んでいる。4月8日に停戦合意はしたものの、その後も戦闘は断続的に続いている。
国際危機グループのイラン担当シニアアナリスト、ハミドレザ・アジジ氏によると、トランプ米大統領が再び大規模な軍事作戦に踏み切るのか、それとも核施設への攻撃などより限定的な攻撃を選ぶのか、イランはなお見極めかねている。「ただ、象徴的な行動に象徴的な対応をするのではなく、抑止力の再確立を期待して、むしろ事態をエスカレートさせる決意を固めているようだ」と語った。
高官のうち2人によると、イランはレバノン、イエメン、イラクの同盟勢力に対し、米国が大規模攻撃を再開した場合にイランを支援する準備を整えるよう要請した。両高官によると、指示は「ホルムズ海峡から、中東域内外の米国の権益に至るまで」の広範囲で、連携した対応を準備するという内容だった。
イラン外務省はロイターのコメント要請に直ちに応じなかった。
<外交と戦闘拡大>
イランは戦争拡大に備える一方で、交渉の経路も維持している。
イランの判断の根底には、もう一つの懸念がある。重要な収入源である石油輸出が米国の封鎖によって途絶える中、経済が長期的な対立に耐えられるかどうかだ。長年の制裁と深刻化する経済苦境は、既に一般のイラン国民への圧力を強めている。
イランは先週、ニューヨークで開かれた国連総会の際、仲介役のカタールを通じて米国に提案を提出した。受け入れられれば、7日以内にホルムズ海峡の通航を再開し、中東全域で戦闘を停止できるとしている。イラン当局によると、提案は戦闘の終結、米国によるイランの港湾封鎖の解除、凍結されているイラン資金のうち少なくとも120億ドルの凍結解除、石油制裁の適用免除を求めている。
トランプ氏は9月26日、この提案を拒否したと述べた。しかし、イラン国営メディアによると、米国の回答は29日にカタールを通じてイランに届き、現在検討されている。
イラン関係筋によると、米国は国際的な懸案となっているイランの核開発計画も交渉に含めることを求めている。一方、イランは自国が示した7条件が満たされて初めて核協議を開始できると主張している。
高官の1人は「イランが米国の回答を全面的には拒否せず、間接協議が続いたとしても、双方が合意に達する可能性は極めて低い」と述べた。
ワシントンの中東研究所でイラン研究部門を率いるアレックス・バタンカ氏も、外交で打開できる見通しはなお乏しいと指摘した。「イランには米国の封鎖継続に耐える余裕がない。封鎖は、体制の肺から酸素を奪うに等しく、状況を一変させかねない。この段階での事態のエスカレーションは十分に考えられる」と語った。
<再び戦争となった場合の代償>
紛争開始以来、小康状態と攻撃再開を繰り返し、数千人の民間人が死亡した。イランの軍事能力は低下し、もともと脆弱だった経済も打撃を受けている。
意思決定過程に近い関係者は、軍事的圧力と経済的制約が重なり、宗教指導者らによる統治体制が持ちこたえることはますます難しくなっていると述べた。
こうした負担は、国内の安定を巡る指導部の懸念も強めている。
イランの改革派元高官によると、指導部は1月に起きた全国的な抗議活動の再発を恐れている。当時は経済状況の悪化をきっかけに、全国に抗議活動が広がった。当局は最終的にデモを鎮圧し、数千人の参加者が死亡した。
元高官は「体制が米国の圧力と爆撃にさらされる中で国内の抗議活動に直面すれば、支配体制の正統性に極めて深刻な問題を突き付ける可能性がある」と述べた。