Phoebe Seers Kirstin Ridley
[ロンドン 30日 ロイター] - 英金融行動監視機構(FCA)は30日、上場企業に新たな気候関連情報の開示基準への準拠を義務付ける計画を撤回したことを、最終規則の公表を通じて明らかにした。
企業側から対応コストや英国市場の競争力への影響を懸念する声が上がったことを受け、情報を開示しない場合に理由の説明を求める現行の「コンプライ・オア・エクスプレイン(順守か説明か)」方式を維持する。各国・地域の政府や規制当局が企業の報告負担を見直す中、気候関連情報の開示規制を厳格化する方針を後退させた形だ。
FCAは1月、上場企業に対して重要な気候変動関連のリスクと機会、気候目標、気候変動が事業に及ぼす潜在的な影響などを盛り込んだ英国の新たな気候情報開示基準への準拠を求める案を示していた。しかし最終規則では義務化を見送り、企業が開示しない理由を説明すれば非開示を選択できる現行方式を継続することにした。
気候情報開示を巡っては、主要国・地域で規制を緩和する動きが相次いでいる。欧州連合(EU)は主要な企業情報開示制度の一部を緩和し、トランプ米政権も気候関連情報の開示規則を導入する計画を取りやめた。
FCAの規則案に対する意見募集では、企業から対応コストに加え、上場先としての英国の競争力に悪影響を及ぼすとの懸念が示されていた。
英国の上場企業を代表するクオーテッド・カンパニーズ・アライアンス(QCA)は、柔軟性やバランスを重視した規制措置を歓迎すると表明。金融業界団体UKファイナンスのサステナビリティー政策担当ディレクター、イアン・ブラー氏は、今回の変更は企業の報告負担の軽減につながる一方、金融機関や投資家が企業のサステナビリティーに関するリスクや戦略を評価するために利用できる情報が減る可能性があると指摘した
FCAは2020年から、上場企業に対して国際的な枠組みに沿って気候関連リスクを投資家に開示するか、開示しない理由を説明するよう求めている。FCAがFTSE350構成企業の25年の年次報告書を調査したところ、92%が気候関連リスクを開示していた。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のTPIグローバル・クライメート・トランジション・センターのエグゼクティブディレクター、カルメン・ヌッツォ氏は、任意の開示が今後も高い水準を維持するかどうかや、開示データの比較が難しくなって気候リスクの評価に影響するかどうかは不透明だとの見方を示した。
その上で、上場企業の誘致を各市場が競う中では「他国・地域が先に規制を後退させると、規制上の競争力を重視する議論が勢いを増す傾向がある」と述べた。