Andrea Shalal
[ワシントン 30日 ロイター] - ウクライナは、ロシアが米宇宙開発企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」に代わる国産の衛星通信網として開発を進める「ラスベット」を巡り、開発に協力しているとする複数のロシア企業などに制裁を科すよう米国に求めている。在米ウクライナ大使館のデニス・シエニク臨時代理大使が30日、記者団に明らかにした。
シエニク氏は、ロシアはラスベットの衛星網を急速に拡大しており、2027年の運用開始を目指していると説明。26年末までに衛星網が構築されれば「ウクライナ領内の標的をリアルタイムで攻撃できるようになる」と述べ、ウクライナにとって深刻な脅威になると警告した。
ウクライナ政府は、ラスベットの開発を支援しているとみなす企業や個人の詳細を米政府や議会に伝える方針で、ウクライナ独自の制裁も科す予定という。
シエニク氏は「これらの企業などが制裁対象にならなければ、ロシアによる計画の実現を可能にしてしまう。戦況を一変させる要因になる」と訴えた。
ラスベットを開発する「IKSホールディング」のアレクセイ・シェロブコフ最高経営責任者(CEO)は6月、27年にサービスを開始する計画を明らかにしていた。同社は3月に低軌道衛星16基を初めて打ち上げ、数年間で900基まで増やす計画だ。ロシアではスターリンクの利用が禁止され、関連機器の使用は罰金対象になる。
欧米諸国はこれまで、ロシアの宇宙通信能力を支えるインフラを制裁対象としてきたが、ウクライナ側は規制にはなお抜け穴があるとみており、米政府に制裁対象となるロシア企業や個人の拡大を求めている。
一方、ウクライナはロシア領内にある弾道ミサイル発射装置への攻撃を可能にするため、スターリンクの通信可能地域を拡大することも要請している。フィンランドのストゥブ大統領も先週、この動きを支持した。
冬を控えるウクライナでは、ロシアの弾道ミサイルを迎撃する防空能力が不足している。ウクライナ側は、ロシア領内でもウクライナ軍によるスターリンク利用が可能になれば、ミサイル発射装置を攻撃する能力の向上につながるとみている。
シエニク氏はまた、ウクライナ国内の米企業がロシア軍の攻撃を受けても、米政府が十分に反応していないと不満を表明した。同氏によると、ウクライナがカスピ海周辺の米国関連資産を攻撃した際には、米当局が強く抗議し、その後、両国間の連携強化や攻撃目標の精密化につながった。一方、ウクライナに進出する米企業がロシア軍の攻撃を受けた際には、米政府からロシアへの明確なメッセージはなく、被害を受けた企業名を公表することにも消極的だったという。