Noriyuki Hirata

[東京 1日 ロイター] - 1日の東京市場では、朝方に日銀短観や9月会合の主な意見が発表されたことを受けて、長期や超長期金利上昇、円安、株高の反応となった。とりわけ市場では「主な意見」で、政府側出席者の利上げへのスタンスに関心が寄せられたが、特段の変化はないと受け止められた。日米首脳会談後に市場で高まっていた「容認」転換の思惑が後退し、日銀の早期利上げ織り込みも低下した。

短観や主な意見の発表を経て市場では「(日銀の政策が後手に回る)ビハインド・ザ・カーブの思惑を織り込みながら、円安や長期・超長期金利の上昇圧力になった可能性がある」(野村証券の宍戸知暁シニア金利ストラテジスト)との見方が聞かれた。

材料視されたのは「主な意見」で城内実経済財政相と目される「内閣府出席者」の発言に、これまでと特段の変化が確認されなかったことだ。

内閣府出席者は「今回の(利上げ)決定につき説明責任を果たすとともに、既往の利上げが累積的に与える影響について十分点検していただきたい」とした上で、「今後は、日本銀行が推計した中立金利も踏まえて検討していく必要があるのではないか」と踏み込んだ。

日銀の利上げ織り込みは、10月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ期待と連動している側面があり、前日に8月の米個人​消費支出(PCE)価格指数の伸びが市場予想​を下回ったことを受け、日本側の材料がなくても低下した可能性はある。ただ、日銀による10月利上げの織り込みは午前9時半頃から低下し始めており、主な意見を織り込んだ可能性があると、野村の宍戸氏はみている。

為替市場でも「日銀の連続利上げ期待が後退し、ドル買い/円売りに傾いている」(ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリスト)との声が挙がった。ドルは朝方に157円前半を推移していたが、徐々に水準を切り上げ、午前の取引中盤には158円を回復した。

株式市場では、銀行や保険が業種別の下落率で上位となっており、早期利上げ期待の低下が影響したとの見方がある。

一方、日経平均は午前に2.4%上昇し、1カ月半ぶりに節目の6万8000円を回復した。国内の人工知能(AI)・半導体関連株の上昇が日経平均高をけん引しており、米国でマイクロン・テクノロジーの好決算を好感した動きに加え、日銀短観の内容を受けて「上方修正期待を先読みし始めたのではないか」(大和証券の坪井裕豪チーフストラテジスト)との見方もあった。

短観について、企業業績面に着目し「全体でみると予想ほど強くなかったが、企業業績面では悪くなく堅調だったとみていいだろう」(坪井氏)との指摘が聞かれた。全規模全産業で今期の経常利益計画はプラス2.2%となり、前回のマイナス6.5%から急回復した。「年度末に向けて上昇していくパターンだが、前年同期はマイナス4.8%で保守的だったところ、早くもプラスに転換してきた」と坪井氏は指摘する。

<市場の関心は再び米金融政策に、主な意見は「過去」の整理も>

こうした消化が一巡すれば、市場の関心は今週末に発表を控える米雇用統計に向かうとみられる。ソニーFGの石川氏は「ドル主導の相場展開になるとみている。利上げを巡る思惑が交錯しやすくなり、米金利の先高観が意識されればさらにドル高が進むだろう」と話している。

主な意見で示された利上げに慎重な政府側の姿勢も「過去の資料として整理していいのではないか。今後の政府側の動きを見極めることが重要」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長)との声もある。日銀会合を経て日米首脳会談があり、その後、「アベノミクス​的な意味でのリフ​レ政策は終わっている」⁠との城内経財相の発言が伝わった。

「ターミナルレート2.5%は織り込みすぎの感があるが、米国側の意向や円安リスクがくすぶる中で、目先は3カ月に1回の利上げは変わらないのではないか」といちよしAMの秋野氏は話している。

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