[シドニー 1日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は1日に公表した半期に一度の金融安定報告で、住宅価格がさらに20%下落し、失業率が6%を超える厳しいシナリオでも、住宅ローンを抱える世帯の大半は住宅価値がローン残高を上回る状態を維持できるとの見方を示した。中銀は今週、政策金利を15年ぶりの高水準に引き上げた。
中銀は76ページにわたる報告書で、融資を受けているほとんどの家計や企業は、景気減速や住宅価格の下落に対応できる現金余力があると分析した。
こうした楽観的な見通しは、中銀がインフレ抑制に向け、9月29日に4回目の利上げを実施し、政策金利を4.6%とした理由の一つだった。中銀は必要なら追加利上げを行う用意があると表明している。
中銀は「経済見通しに対するリスクは高まっているものの、債務を抱える家計の大半は、幅広い悪影響に十分耐えられる状態にあるようだ」と指摘。
「住宅価格がさらに20%下落するシナリオでも、これまでの住宅価格上昇と慎重な融資基準を踏まえれば、大半の借り手は住宅価値がローン残高を上回る状況を維持できる」とした。
不動産コンサルティング会社コータリティーが1日発表したデータによると、豪住宅価格は9月に6カ月連続で下落し、ピークからの下落率は5%を超えた。
AMPのエコノミストは、今回の下落局面で住宅価格が10─15%下がると予想しており、過去30年間で最大の下落局面となる見通しだ。
中銀によると、住宅価格が長年にわたり上昇してきた結果、住宅価値がローン残高を下回る借り手の割合は現在1%未満にとどまる。収入で支出を賄えていない借り手の大半にも、少なくとも6カ月分の支出を賄える貯蓄があると推計されるという。
中銀は、失業率が現在の4.6%から6.3%に上昇し、インフレ率が7%、政策金利が5.6%に達する厳しいシナリオを分析。この場合、住宅ローンの債務不履行に陥るリスクのある借り手の割合は約5%に上昇し、直近のピークだった2023年の水準をやや上回る可能性が高いとした。
銀行については、十分な自己資本を有し、収益力があり、健全な融資慣行を維持しているため、住宅市場の「大幅な」悪化に十分耐えられると指摘した。
一方、金融安定へのリスクは、地域紛争やサイバー攻撃、政府債務の増加、金融市場の暴落の可能性など、海外に起因するものが増えているとした。
「引き金の一つとして考えられるのは、人工知能(AI)投資ブームに対する市場心理の変化だ。このブームは、急速な利益拡大が持続するとの期待や、不透明さと循環性を増す借り入れによる資金調達によって一段と加速している」と述べた。
最先端AIの能力が急速に進歩したことでサイバー脅威も複雑化し、業務上の脆弱性が金融安定にもたらすリスクが高まっているとも指摘した。