Lili Bayer
[ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は、将来の加盟国が民主的な仕組みを弱体化させたり、意思決定を拒否権で妨げたりする動きからEUを守るための措置を提案している。ロイターが確認した草案文書で明らかになった。
モンテネグロ、アルバニア、ウクライナ、モルドバのEU加盟に向けた取り組みが進展する中、EUは拡大に伴う影響を精査するとともに、新規加盟国に適用するルールを変更するかどうかを検討している。
欧州委はEU拡大への準備に関する草案文書で「拡大は欧州を強くする」と指摘。同時に、「加盟国が増えれば、意思決定、行政、法執行、インフラ、財政に対する要求も高まる」と記した。
草案は今後変更される可能性もあり、欧州委が来週発表する見通しの包括案の一部となる。
EU各国政府は、新規加盟国による民主主義の後退や外交政策の転換に伴うリスクを最小化したい意向を示している。ハンガリーで16年間政権を担った後、今年4月の選挙で敗北したオルバン前首相との対立に苦慮した経緯があるためだ。
一部の国は、拡大の結果として生じる急激な変化から、既存加盟国の企業や市民を守ることも目指している。
欧州委は、新規加盟国が一定期間、コンセンサスによる決定に反対しないと宣言する「一時的な政治的コミットメント」など新たな手段の提案を検討している。
さらに、加盟後の一定期間、既存加盟国が新規加盟国の議決権を含む諸権利を停止できるようにする保護条項も検討している。停止には、27加盟国のうちEU人口の65%を代表する15カ国による「特定多数」の賛成を必要とする。
欧州委の文書によると、新たな加盟条約には、労働者の自由移動や農業などの分野で期限付きの保護措置が盛り込まれる可能性もある。
欧州委はまた、ハンガリーがしばしば拒否権を行使してきた制裁などの分野で特定多数決を導入することにより、加盟国に対しEUの意思決定を円滑化するよう改めて求めた。