イエメン北部を実効支配する武装組織フーシ派が、同国南西部で暫定政府軍に猛攻を仕掛けたのは9月8日のこと。これによりフーシ派は、紅海沿岸の要衝を制圧し、アラビア半島とアフリカ大陸に挟まれたバベルマンデブ海峡を事実上の管理下に置いた。
同じ週、北アフリカのアルジェリアが、アラブ首長国連邦(UAE)と外交関係を断絶すると発表。UAEの航空機がアルジェリアの領空を通過することを原則禁止した。
一見したところ、全く無関係に思われるこの2つの出来事は、中東の地域秩序を形作る3つの大きな要因によって強く結び付いている。
第1の要因は、今年2月に始まったイラン戦争で、アメリカが迅速に勝利を挙げられず、アラブの同盟国の防衛もできていないこと。2つ目は、サウジアラビアとUAEの対立。そして3つ目は、中東とアフリカを隔てる壁が急速に崩れていることだ。

バベルマンデブ海峡は、紅海を経てスエズ運河を通り、ヨーロッパに至る重要航路の戦略的要衝、いわゆるチョークポイントだ(ちなみにスエズ運河の通航料はエジプト政府の重要な収入源だ)。フーシ派は今、その通航を阻止できるようになった。
これはサウジアラビアにとって二重のショックだった。イラン戦争で、アラビア半島の東側のチョークポイントであるホルムズ海峡が封鎖されたため、サウジアラビアはパイプラインで原油を紅海沿岸に運び、そこから石油を積み出そうとしていた。そのパイプラインがフーシ派の攻撃などで破壊されたため、サウジアラビアと世界経済はかつてない圧力にさらされている。