[オークランド(米カリフォルニア州)28日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は28日、人工知能(AI)関連の需要と原油高を背景に、今後数カ月はインフレ圧力が続くとの見通しを示した。ただ、追加利上げが必要になるとの明言は避けた。
カリフォルニア州オークランドで開かれるAIと新興技術に関する会議向けの講演原稿で「労働市場は利上げに十分対応できる状態にあるようだ」と指摘。「今後、インフレ率を引き続き目標に向けて低下させるため、どの程度の政策金利が必要かを検討する。当然ながら、今後の調整の回数と幅は、これまでの政策措置に対する経済の反応と、今後数カ月のインフレ・雇用統計を踏まえて判断する」と述べた。
FRBは9月、インフレ率を2%の目標に「より速やかに」戻すため、3年ぶりに政策金利を引き上げた。決定は全会一致で、クック氏も賛成した。
金融市場は現在、FRBが10月に利上げする確率を約75%と織り込み、12月の会合で3会合連続の利上げに踏み切る可能性も高いと見ている。
クック氏は講演原稿で、こうした市場の見方を追認しなかった。ただ、インフレ率は「高過ぎる状態があまりに長く続いている」とし、8月までの12カ月間の総合インフレ率が約3.8%と、2%目標のほぼ2倍だったと指摘した。
「さらに今後数カ月は、本日述べたAI関連基盤の拡充に加え、中東紛争に伴う原油高と供給網の混乱の波及により、インフレ圧力が続くと予想する」と述べた。
AIによる生産性向上は中期的に一定のインフレ鈍化をもたらすと見込む一方、26年中のインフレ圧力を相殺できるほど早く効果が表れることはないと指摘。インフレ指標は、こうした物価上昇圧力がAI関連分野以外にも広がっていることを示していると述べた。
講演では主にAIの経済への影響を取り上げた。クック氏はAIを、経済を一変させる可能性を持つ汎用技術と位置付けている。
現時点では、AIが労働市場の構造を変えつつあることを示す証拠はほとんど見られないと説明。ただ、少なくとも一時的に失業率を押し上げる可能性を「強く警戒している」と付け加えた。その場合、労働市場を支えるための利下げがインフレを助長しかねず、FRBの対応余地は限られるとした。