Joe Brock
[オースティン 25日 ロイター] - 米人工知能(AI)企業アンソロピックの投資家で、米データ分析会社パランティア共同創業者のジョー・ロンズデール氏は25日、一部の主要AI企業がAIによる人類存亡のリスクを訴えていることについて、公共政策に影響を及ぼそうとする危険な動きだと批判した。
アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)とオープンAIのサム・アルトマンCEO、宇宙企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏は今月、最先端AIモデルの開発ペースを落とすよう相次いで求めた。安全対策が技術進歩に追い付かなければ、高性能化するAIが人類の存亡を脅かす可能性があるとの理由からだ。
こうした中でベンチャーキャピタル(VC)、8VCの創業者でもあるロンズデール氏は、ロイターのイベント「モメンタムAIオースティン」で、アンソロピックやオープンAIに近い人物らが、AI規制の強化を主張する外部団体に資金を提供していると指摘。少数の大手企業が業界のルール形成に影響を及ぼし、市場支配力を固定化する恐れがあるとの見方を示した。
ロンズデール氏は「オープンAIとアンソロピックが現在推し進めていることは非常に危険だと思う。政府の政策を一部の企業が寡占的に左右するような状況は望ましくない。安全性は現実の問題だが、恐怖や規制にどう対応するかについては、細心の注意を払う必要がある」と語った。
ただアンソロピックに出資しているロンズデール氏は、同社が優秀な人材を集め、AI開発競争のトップ企業の1つに成長した点は高く評価。「ここ数年、世界で最も高い成果を上げている企業について、外部の人間が判断を下すのは非常に難しい。アンソロピックの投資家であることを誇りに思う」と述べた。
ロンズデール氏は米防衛テクノロジー企業アンドゥリルなどにも出資しており、出資先企業の一部が今後、ウクライナの防衛関連企業を買収する可能性があるとの見通しを明らかにした。
ロシアによる侵攻から4年余りが経過して、ウクライナのドローン(無人機)・防衛技術企業は、戦場で使用するシステムを継続的に改良し、急速な技術進歩を遂げていると指摘。より緊密な提携や買収の機会があるとの認識を示した上で「われわれは非常に緊密に協力している。われわれの多くの企業がウクライナ企業と連携している。出資先企業の多くが現地企業の一部を買収する可能性が高い」と説明した。
ロンズデール氏は、AIを活用した自律型兵器に関しては「戦争の未来」だと認めながら、使用に伴う責任は軍の指導者が負うべきだと主張した。ウクライナではドローンや自動化されたシステムが戦闘の中心的な役割を担うようになり、この問題の重要性が一段と高まっている。
同氏は「どのようなシステムにおいても、それを検討し、運用を決め、承認した責任者が必ずいる。戦場の混乱の中にいない外部の人間が、こうしたことを判断するのは容易だ」と述べた。
ここ数カ月、米国防総省の幹部候補として名前が取り沙汰されているロンズデール氏は、要請があれば政府で働く考えがあるかとの質問に対し、現時点では家族や事業を優先すると答えた。
「大統領から電話があり、何かを頼まれれば、当然検討すべきだ」と話しつつも、「今は自分の事業とコミュニティーを築くことに集中している」と明言した。