他方で、辺野古の問題が争点から外れたのは複雑な思いもあったのです。複雑というのはこういうことです。もはや知事選で争点にならなかった問題を知るために知華は乗船したのかと。辺野古の海までわざわざ見に行く必要があったのか。それも抗議船に生徒を乗せて危険な辺野古の海を見せる目的はどこにあるのか。大きすぎるリスクをとってまで伝える内容なのか……。
あえて言えばこんなことで命を失ってほしくなかった。知華は教訓を残すために生まれてきたわけではないのです。明らかに教育内容とリスクが釣り合っていないという寂しい思いが心を巡っていました。
──沖縄県知事選に勝利した古謝玄太氏は私の取材にこう答えています。「(辺野古転覆事故の)原因究明と再発防止について県としても協力したい。安全な修学旅行のためのガイドラインも作りたい」と。
母 私たちは沖縄県知事選を起点にして関心が低下することを恐れていました。新しい県知事が原因究明に動いてくれるのならば、それは嬉しいことですし、沖縄県でガイドラインはぜひ作ってほしいです。
学校は安全管理だけでなく教育内容にも問題があると指摘されています。個人的な希望を言えば、平和教育における平和とは何かという議論が進んでほしいと願っています。
知華はハーバード大学のサマースクールに参加したとき、宇宙関連の講義に夢中になり将来はアメリカの大学に進学して、JAXAやNASAで働きたいという夢を持っていました。もちろん子供の夢なので変わったかもしれませんが……。災害や事故、事件で突然命が奪われる事態が起こるということは頭ではわかっていたけど、自分の子供が学校の研修旅行で命を奪われるとは思ってもいませんでした。行ってらっしゃいと送り出したのに「ただいま」と帰ってこなかったのです。少なくとも学校活動のなかで、こうした出来事は繰り返してほしくはありません。
父 沖縄県議会「辺野古沖船舶転覆事故に関する調査特別委員会」の調査において、証言が必要ならば出席するという趣旨をnoteにも記してきました。私たちは沖縄で平和について学ぶことそのものを否定したいわけではありません。親からしても安全はもちろんですが、安心できる環境で楽しい旅行ができるようであってほしいという思いが強いです。今、沖縄においてはその前提が崩れていると思っています。
なぜ学校の研修旅行という教育活動の中で、生徒が安全性の確認がされていない団体の船に乗ることになったのか。なぜこうした団体の活動が放置されてきたのか。沖縄県における教育活動のなかで受け入れの仕組みを検証できるのは沖縄県、県議会しかないのです。
議会での証言が必要であれば、出席をするつもりです。その際には、テーマに沿って私たちの思いや疑問、見聞きしてきたことをお伝えしたいと思っています。
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