2022年のブラジル大統領選で再選まであと一歩のところで惜敗した身から一転、ジャイル・ボルソナロはクーデター未遂などの罪で禁錮27年3カ月の刑に服する犯罪者になった。その息子が今、2つの結果を覆そうとしている。

汚名まみれの前大統領の長男で、45歳のフラビオ・ボルソナロ上院議員が狙うのは、10月4日に実施予定の大統領選で現職ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバを打ち破ること。父親を自由の身にして、大統領府に「ボルソナロ王朝」を復活させることだ。

政界の頂点を目指す野心と個人的な復讐心が入り交じる今回のブラジル大統領選は、実に興味深い政治劇だ。既にネットフリックスが全8話のドキュメンタリードラマを構想し、キャスト選びに乗り出していてもおかしくない。

優れたドラマには、カギを握る予測不能な登場人物が欠かせない。ボルソナロの物語にもそんな存在がちゃんといる。ドナルドおじさん──父親の旧友のアメリカ大統領だ。

前回大統領選で、ボルソナロとルラが繰り広げた対決は目を見張るほど激烈だった。

選挙戦は非難の応酬に終始し、ボルソナロは03~11年まで2期大統領を務めたルラを「泥棒」、刑務所に戻るべき「元受刑者」と罵倒(ルラは17年に収賄罪で有罪判決を受けたが、連邦最高裁判所は21年に判決無効と判断)。一方、ルラは民主主義の導き手を自称し、ブラジルを「大量虐殺志向」の元陸軍大尉から守ると宣言した。

共に満身創痍の戦いの末、勝利をもぎ取ったのはルラだ。得票率はルラが50.9%で、ボルソナロは49.1%。近代ブラジル史上最大の接戦を制して、ルラは3度目の大統領就任を果たした。

選挙戦で掲げるテーマはずばり「復讐」
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