世界の農場に入り「説明ではなく、解決を届ける」
アサヒバイオサイクルは、アニマルニュートリション、アグリ、環境の3事業を展開し、社会に価値を届ける「B for B」のソリューションプロバイダーを目指す企業だ。「カルスポリン」の歩みを象徴するのが、1999年に始まったアメリカでの挑戦だ。
畜産大国であり、飼料の輸出国でもあるアメリカへ日本製品を持ち込んだ当初は、門前払いを受けることもあったという。それでも学会や展示会へ足を運び、ラボで分析したデータを提示して製品への理解を得ながら、顧客との信頼関係を少しずつ築いた。実績を積み上げた結果、かつて採用を見送ったアメリカ最大級のブロイラー企業から改めて声がかかる。抗生物質に極力頼らない飼育という方向性も一致し、本格導入へとつながった。
アサヒバイオサイクルが重視するのは、製品を販売して終わる営業ではない。社員が世界各地の農場や飼料工場へ直接赴き、サンプル採取や腸内フローラ解析まで行う「フィールドテクニカルサポート」を徹底する。微生物・発酵技術、動物栄養の知識、品質保証までを一体化し、顧客ごとに異なる課題に向き合うスタイルである。
一般に「TS」は技術営業を意味する「テクニカルセールス」と捉えられるが、同社が掲げるのは「テクニカルソリューション」だ。技術を正確に説明するだけではなく、その技術を使って何を解決できるのかまで提案する。「説明ではなく、解決を届ける」という姿勢が、海外市場で信頼を積み重ねる原動力となってきた。
その体制も拡大している。2026年6月にはオランダにラボを含む欧州支店を開設し、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、タイへとグローバルな活動基盤を広げた。各地域で蓄積したデータや知見を共有しながら新市場を開拓し、高度な専門人材やパートナー企業との連携も強化する方針だ。
さらに、農林水産省「農業女子プロジェクト」への参画を通じ、業界全体の発展を支える活動にも力を注ぐ。
40年という時間が示すのは、一つの製品の長寿だけではない。研究室で培った微生物の知見を農場へ持ち込み、現場で得た課題やデータを再び技術へとつなげる。その循環を世界各地で積み重ねてきた歴史でもある。
家畜の健やかな成育を支え、生産者の課題解決を助け、その先にある安全・安心で豊かな食卓へとつなげる──。「バイオのチカラで未来を創る。」という言葉を、農場から食卓までの一つの循環として形にする挑戦が続いている。
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