<米政府が日本に「リフレ政策からの転換」を異例の要求。金利を上げても、低金利政策を続けても国民の負担は避けられない。高市政権は厳しい選択を迫られている>

アメリカ政府が日本に対して、アベノミクス(リフレ政策)を中止するよう、直接的に言及するという異例の事態となった。日本の財政状況についてアメリカが強い危機感を持っていることの裏返しだが、高市政権にとっては、これまでになく厳しい選択となりそうだ。

スコット・ベッセント米財務長官は2026年9月1日、「日本に対してリフレ政策をやめるべきと伝えた」と発言し、市場に激震が走った。同氏は日銀に対しても「円安が日本国内のインフレ圧力の一因となっている」として、利上げを実施するよう強く迫っている。

各国の経済政策や金融政策に他国が口を出すことは、下手をすると内政干渉につながるものであり、通常はタブー視されている。日本はあらゆる面で米国に追随する国であるという現実を割り引いたとしても、ここまで直接的な要求が出てくるのは、やはり尋常ではない。

トランプ米政権は以前から、日本がアベノミクスを継続していることについて過度なドル高を招いているとして、神経をとがらせてきた。今年5月にベッセント氏が訪日した際も、日本の経済政策に対して、(水面下で)強い不満をあらわにしたと報道されている。

これまで内心では不満を持ちつつ、表面的には抑制された言動にとどめていたトランプ政権のスタンスが大きく変わったのは、7月に実施された為替の協調介入以降である。

日米当局は、過度な円安を防ぐため28年ぶりとなる協調介入に踏み切ったが、これまでアメリカ政府は為替介入に一貫して反対の姿勢を示してきた。

だが、このまま円の下落を放置した場合、日本政府が保有する米国債を市場で売ってしまうとの懸念が生じたことから、やむを得ず、協調介入に応じた。この出来事を境に、ベッセント氏が利上げを示唆する発言を繰り返すなど、事実上の政策介入が始まったとみてよいだろう。

国民の痛みは避けられない
【関連記事】