外交の真価が発揮される場面とは

外交分野の職員組合であるアメリカ外交協会(AFSA)によれば、8月10日時点で世界の大使や外交官ポストのほぼ半数が空席になっている。国務省の人員削減に伴い、外交官や職員200人以上が解雇されたという。

外交官には、クシュナーのような柔軟性や取引をまとめる権限はないかもしれない。だが彼らは組織として蓄積した知識と経験を継承し、現地の政治情勢を読み解き、政府機関を調整し、合意の土台となる人間関係を維持している。

何より重要なのは、クシュナーのような交渉役が署名を取り付けた後、その構想が確実に政策として実行されるようにすることだ。

クシュナーの過去の成功は、当事者双方に、合意に向けた強力な経済・安全保障上の動機があったからだ。だがガザ、イラン、ウクライナの場合は話が違う。最終決着のイメージが当事者間で根本的に食い違っており、戦争を継続させる強い動機がある。

外交の真価は、まさにこのような場面で発揮される。すなわち対話の窓口を維持し、妥協案を模索し、合意を継続させることだ。

AFSAが昨年8〜9月にアメリカの外交官2100人以上を対象にした調査では、86%が国務省の職員削減によって外交上の優先課題を推進する能力が損なわれたと回答。98%が士気の低下を訴えた。

クシュナーには敵対する当事者を集め、合意成立まで持ち込む力があるかもしれない。だが彼が去った後も、その合意を維持するためには、健全な外交組織が必要だ。

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