スティーブン・ワン氏は、トランプ米大統領による貿易紛争のコストを計算しているところだ。同氏が輸入する中国製のポンプ、バルブ、モーターにかかる関税を支払うために、彼はこれまでの12倍もの保証金を税関に納めなければならなかった。

「税関ボンド」と呼ばれる保証金のコストは増大しており、ただでさえ関税の急上昇に悩まされている輸入企業に追い打ちをかけている。トランプ政権が、中国からの輸入製品や鉄鋼・アルミニウムへの関税を数百億ドルも追加しているからだ。

昨年実施された関税引き上げは、製造コストを上昇させ、数十年の実績を持つグローバルなサプライチェーンを覆し、物価の上昇をもたらし、結果的に販売が伸び悩み、企業はやむなく投資を先送りしている。ひいては、グローバルな成長展望に陰りをもたらし、金融市場の混乱が生じている。

他にもあまり目立たない副作用が生じている。その1つが、米国の税関ボンドのコスト上昇だ。目立たないとはいえ、追加コストを負担する余裕に乏しい中小企業にとって、その影響は死活問題になりうる。

トランプ政権による税率の引き上げに伴って納付する関税額が増大したことで、輸入企業は、中国製品や外国産の鉄鋼・アルミニウムを米国に輸入する際の追加コストを支払う能力があることを証明するため、これまでよりもはるかに高い額面のボンドを納めなければならない。

ロイターが輸入企業、貿易保険会社、通関代行事業者10数社に取材したところ、税関ボンドに要するコストが500倍にも増加した例があるという。

「キャッシュフローのやりくりが厳しくなっている」と、冒頭のワン氏は言う。貿易紛争が長引くようであれば、利益率が低く資本力の弱い企業は倒産する恐れがある、と彼は警告する。

ワン氏は、産業用機械を手がける多国籍企業のCNHインダストリアル向けに、中国から建設用・農業用設備の部品などを輸入するヘングリ・アメリカ社のトップを務めている。

ヘングリが扱う製品の関税がゼロから年間600万ドルに増えたことを受け、米国税関当局は同社に対する税関ボンドを以前の5万ドルから60万ドル相当に引き上げた。

他の輸入企業も、同じような急激な増額があったとしている。

税関への保証金が急増