Parisa Hafezi Angus McDowall

[ドバイ 28日 ロイター] - イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師はイラン戦争の開戦から半年が経過した今も国民の前に一度も姿を見せず、肉声も伝わっていないことから、健康状態や実権を巡る疑念が一段と深まっている。

ハメネイ師から国民へのメッセージは、ニュースキャスターが読み上げた数件の声明に限られる。7月に1週間にわたって盛大に営まれた父親の葬儀にも姿を見せなかった。

政府高官や内部事情に詳しい関係者は、暗殺への懸念が不在の理由だと説明する。ハメネイ師は空爆で受けた顔の傷の治療を続ける間、日常的な権限の多くを少数の最高幹部に委ねているという。

関係筋によると、革命防衛隊は開戦当初から影響力を拡大し、現在も最高国家安全保障会議を中心に再編された支配体制の頂点で戦略立案の中核を担っている。上層部には革命防衛隊の最高幹部のほか、ペゼシュキアン大統領やガリバフ国会議長ら政治の重鎮が加わっている。

複数のイラン高官は、ハメネイ師が実際にこうした最高幹部と会合を開き、協議に全面的に関与し、あらゆる主要案件で最終決定を下していると述べた。

ある政府高官によると、ハメネイ師と直接対面できる当局者は少数に限られる。米国が攻撃対象を特定する手掛かりになる情報が漏れる恐れがあるため、ハメネイ師に関する詳細は一切公表されていないという。

側近筋は、ハメネイ師の健康状態は大幅に改善しており、思考は明晰で、意思決定にも関与していると説明した。

別の政府高官は「これほどの圧力を受けても、国民向けの行政サービスは止まっていない。外交方針は統一され、意思決定にも一貫性がある。これら全てが最高指導者の統率下にあることの証だ」と述べた。

ただ、イランの最強硬派の支持者の間にも疑念が広がりつつある。イスラム教シーア派の聖地コムの民兵組織「バシジ」の隊員は「国民がもっと安心できるよう、最高指導者の声を聞くか、最高指導者が指揮を執っていることを示す何らかの証拠を見る必要がある」と語った。

この隊員は、ハメネイ師が今も重要な決定を下していると信じているとしながらも、写真1枚すら公表されていないことが士気を損ない、イランの国益にもならないと述べた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。