Eduardo Baptista Xihao Jiang Qiaoyi Li
[北京 23日 ロイター] - 中国の人型ロボットは、最速記録を持つ人間よりも速く走れることを証明した。真価が問われるのはここからだ。ケーブル接続のような精密作業を確実にこなしながら、梱包や倉庫業務にも対応し、地味な仕事でも人間のように働く能力があることを示せるだろうか。
北京で22日、5日間の予定で開幕した「世界ヒューマノイドロボット競技大会」では、スポーツを模した競技に加え、工場やレストラン、オフィス、緊急事態を想定した環境でロボットを試す競技も行われる。
中国国営メディアが大々的に宣伝するこの大会で披露されるのは、スポーツ競技30種目とシナリオ型競技21種目を含む計51競技。大会の技術パートナーである華為技術(ファーウェイ)によると、40%超の競技でロボットの完全自律動作が求められる。
22日には、ロボット2機が100メートル走でウサイン・ボルト氏(ジャマイカ)が持つ男子世界記録の9秒58を上回った。優勝ロボットの記録が20秒超だった2025年に比べて大きな向上だ。ただし減速には課題があり、ロボットはゴールの数メートル先に主催者が設置した厚いマットに激突した。
同じモデルの別のロボットは、400メートルを39秒7で走破し、ウェード・ファンニーケルク選手の世界記録43秒03を超えた。
ロボット投資家のシュー・チャオシェン氏は「昨年より競技の強度が高まっており、ロボットはより高度な電池管理や放熱性能を要求されている」と指摘。「中国の産業発展にとって非常に大きな意義がある」と述べた。
大会では綱引き、重量挙げ、太極拳、矢のような棒を首の細い壺に投げ入れる中国の伝統競技「投壺」といった競技も行われる。
<真価は細部に>
ただ見世物としての派手さを超え、本当に真価が問われるのは、ケーブルの角度がわずかにずれていたり、少しだけ手の届かない場所に物があったり、荷物が動いたり、段差を踏み外したりといった、現実世界の小さな不完全さにロボットが直面した時かもしれない。
こうした状況でロボットは、物体を認識し、手や身体を正確に位置合わせし、力を適切に加え、人間の介入なしにミスから回復できるかが試される。
ルーモス・ロボティクスのユー・チャオ最高経営責任者(CEO)は大会について、ハードウエア改良の手掛かりや業界のショーケースとして役立つ可能性があるが、長期的な価値は実社会での問題解決能力にかかってくると言う。
ユー氏は「最終的な利用現場で実際に働けてこそ、本当の価値が生まれる」とし、「単に走ったり跳んだりするだけでは、効率向上にはつながらない」と続けた。
大会では電気自動車(EV)の充電、レストラン業務、緊急事態対応、手先の器用さを競う競技も行われる。製造業の組み立て作業や資材積載の競技もある。ケーブル接続競技では、視覚認識、機械の位置合わせ、力加減の制御能力が試される。
北京のロボット新興企業ギャルボットは、人型ロボットによる自律型テニス試合を実施する予定だ。ロボットはシングルスとダブルスに挑戦する。
ロボット企業ゼロスの最高マーケティング責任者(CMO)ファー・ロン氏は、本当の勝負が始まるのは実演終了後だと指摘。「製品が売れた後、実際に利用者の問題を解決できるかどうかが勝負どころだ」と語った。