[24日 ロイター] - 中国の不動産市場の好況と崩壊を象徴する存在だった不動産開発大手、中国恒大集団の創業者の許家印被告が20日、裁判所で無期懲役の判決を言い渡された。不動産業界の落ち込みは世界2位の経済大国である中国の足かせであり続けている。数百万世帯にとって悩みの種であると同時に、経済成長のための輸出依存は貿易摩擦を引き起こす原因となっている。

アナリストらは、不動産危機がもたらすこのような状況に明確な終息の兆しは見られないと指摘している。

許氏の無期懲役判決を巡っては短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で20日、関連ハッシュタグの閲覧数が3億7000万回を超え、コメントは7万2000件に上った。多くの怒れる住宅所有者や債権者らは、当初は検閲の対象とならなかった投稿で、かつてはアジア最大の資産家だった許被告が資金の不正流用から贈賄に至る罪で有罪判決を受けたにもかかわらず、なぜ死刑判決を受けなかったのかと問いかけた。

中国の金融規制当局が過度なレバレッジを抱える不動産セクターを取り締まるようになって6年が経過したが、苦境は続いている。中国全土で数百万戸の建設途中の物件が放置されたままになっており、北京や上海といった大都市での新築住宅価格は回復せず、土地販売は急落を続けており、不動産の販売と建設はますます落ち込んでいる。

内陸部の小都市では、中古住宅価格が2020年の水準から25%近く下落しており、これが消費の足かせとなっている。

中国の26年第2・四半期(4―6月)の国内総生産(GDP)の前年同期比増加率は4.3%となり、新型コロナウイルス禍に見舞われていた22年第4・四半期以来、3年余りで最も低い伸びとなった。

かつて国内需要の原動力だった分野が後退する中、中国は経済成長のために輸出への依存度を高めている。中国の貿易黒字が19年の2倍超に膨れ上がったことで欧州連合(EU)や米国との貿易摩擦が激化し、新興国・途上国の「グローバルサウス」を含めた貿易相手国の国内産業を圧迫するとの懸念から、「中国ショック2.0」への懸念が高まっている。

<容易な解決策はない>

米中西部シカゴに拠点を置く不動産コンサルティング会社、エンハンス・インターナショナルのサム・ラドワン最高経営責任者(CEO)は「問題は構造的で、打てる手は多くない」とし、「住宅戸数は世帯数を上回っている。人口の3分の1超が2軒目の住宅を投資手段として利用していた」と解説する。

恒大集団は21年に債務不履行に陥り、24年に清算手続きを始めた。同業の碧桂園控股(カントリー・ガーデン)は23年に債務不履行に陥り、それ以来は土地を購入していない。一方、資金繰りが悪化している万科企業は社債の一部の返済期限延長を求めており、経営陣の大部分を国有企業の幹部と入れ替えた。

習近平国家主席は、銀行融資や国家支援の対象を不動産からロボット工学、半導体といった戦略的なハイテク産業へと転換しようとしている。しかし、アナリストらはこうした新興セクターは依然として規模がなお小さく、不動産市場の低迷によるマイナス影響を相殺するには至っていないと指摘する。

調査会社コンファレンス・ボード・アジアのシニアエコノミスト、マックス・ゼングレイン氏は「経済成長およびその恩恵は、経済全体でははるかに限られた範囲にしか及んでいない」とし、それが「消費は回復しない主因だ」と説明した。

民間不動産企業の大部分が債務不履行に陥ったため、今や国有不動産開発会社が市場を支配している。市場関係者は、不動産セクターが今後は国家の監督下に置かれる度合いが強まると予想している。

大手国有銀行の融資担当者は「主な考慮点はその背後に誰がいるか、それは国有企業か、地方政府系企業なのかということだ」とし、「実際には銀行は既に長い間、民間開発業者への融資をほぼ停止している」と明かした。

<「この苦痛は耐え難い」>

エンハンス・インターナショナルのラドワン氏は、住宅在庫の解消に18カ月かかると見込む。住宅価格が均衡状態に達するには25年の水準からさらに40%下落する必要があり、そのプロセスにはさらに10年かかる可能性があるとの見方を示す。

ラドワン氏は「中国国民は非常に賢い人々だ」とした上で、「彼らはまだ底には程遠いことを十分に理解しているが、その底がどこにあるのか見えない」と語る。

一方、最悪の局面が過ぎ去った可能性があるとの見方を示すアナリストらもいる。ガベカル・ドラゴノミクスの中国調査部門副責任者、クリストファー・ベドール氏は「今から状況が大幅に悪化するとは予想していない」とし、「最も可能性の高いシナリオは価格の緩やかな調整が続き、最終的に市場が整理され、ある程度の改善への道が開かれるというものだ」との見解を示した。

ジェイソン・ワンさん(38)は不動産危機の打撃が最も大きい地域の一つである山東省に自宅を持ち、19年の購入価格から25%下落したとして「この苦痛は耐え難い」と訴える。その上で「人々が食べていくのもやっとの状況で、誰が家を買う余裕などあるのか」と疑問視した。

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