Greg Torode

[香港 19日 ロイター] - 中国が西沙諸島(パラセル諸島)の羚羊礁(アンテロープ礁)で進めていた第1期工事が完了したもようだ。専門家は中国最大の軍事基地の一部になるとみている。

ロイターが確認した衛星画像で、埋め立て地の全体像が初めて明らかになった。少なくとも6カ月にわたり作業が行われていたが、はしけやしゅんせつ船は現場を離れている。

オープンソースのデータプラットフォーム、PLAトラッカーの創設者ベン・ルイス氏は「南シナ海北部は台湾有事の際に特に重要になるため、アンテロープ礁は理想的な位置にある」と指摘した。

衛星画像会社バンターが7月19日に撮影した画像では、島の南東部でヘリコプター発着場を含む建物の建設が始まっている。

中国は新たな軍事基地の建設を認めていない。一方、国営メディアはアンテロープ礁が気象予報や科学研究など民間の需要に応えるとしている。

<中国の軍事支配を強化か>

地域の安全保障アナリストや各国の駐在武官は、この施設が重要航路である南シナ海北部に対する中国の軍事支配を強める可能性が高いとみている。

画像によると、埋め立てた島は全長約6キロメートルで、3キロを超える直線状の海岸線がある。アナリストによると、滑走路として利用される可能性がある。水深の深い港には全長680メートルの埠頭(ふとう)が延びている。バンターの画像には海警局の船舶が接岸している様子が写っている。

PLAトラッカーのルイス氏は、アンテロープ礁が南シナ海における中国軍の最も重要な拠点の一つになり得るとの見方を示した。近隣のウッディー島(永興島)より大きく、南の南沙諸島(スプラトリー諸島)にある基地網より防衛しやすいという。

シンガポールを拠点とする安全保障研究者のコリン・コー氏は、アンテロープ礁について、核弾頭搭載の弾道ミサイル原子力潜水艦を防衛するため、中国が南シナ海に保護海域を設ける際の支援拠点になる可能性もあると指摘した。島には大規模な監視装置が設置される可能性が高く、周辺海域で活動する米国とベトナムの潜水艦の運用を難しくする恐れがあると述べた。

オーストラリア国防大学のカール・セイヤー教授は、西沙諸島の施設が完成すれば、平時には米国と同盟国に対する中国の監視能力が強化され、有事には状況が一段と複雑になると指摘した。「米国が対処しなければならない対象が一つ増える。中国は本土からこの拠点を防衛することも可能だ」と述べた。

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