管理栄養士のジェシカ・コーウィンもこの研究結果に注目しており、食事に関する長年のアドバイスに重要な視点をもたらすと指摘する。
「『無脂肪時代』に育った私たちなら、無脂肪食品が食欲や満足感、体重に及ぼす悪影響を理解しているはずだ」とコーウィンは言う。
コーウィンは、今回の研究が「全脂肪乳製品のほうが低脂肪乳製品よりも健康に良い」と証明したわけではないとした上で、健康的な食生活に全脂肪乳製品を加えると体重が増えたり、心臓の健康に関する指標が悪化したりするという思い込みを覆すものだと指摘する。
また、今回の結果は栄養科学におけるより広い教訓を示しているという。
「食品に含まれる特定の栄養素だけを切り取っても、食品全体の健康効果を正しく予測できるとは限らない」とコーウィンは述べる。「乳製品には飽和脂肪酸が含まれているが、複雑な食品マトリックス(食品全体の構造)のなかで、良質なタンパク質やカルシウム、カリウムといった他の栄養素も供給してくれる」
研究チームは、「過体重」または「肥満」に分類される成人74人を3つのグループに分けた。第1グループは乳製品を控えめにしたカロリー制限食、第2グループは1日3食分の乳製品を含むカロリー維持食、第3グループは、食事制限をせず、乳製品を1日3食分含む食事を実践した。
参加者全員がカナダのガイドラインに沿って食事を指導され、乳製品を摂取するグループには研究期間中、全脂肪乳製品が提供された。
研究者らは、今回の新たな結果が「乳製品マトリックス仮説」を支持するものだと述べている。これは、食品の物理的構造が栄養素の消化や吸収のされ方を左右するという考え方だ。つまり、食品の健康への影響は単一の栄養素単体ではなく、含まれる成分がどのように相互作用するかによって決まる可能性があるということだ。
Reference
Anderson, H. G., et al. (2026). The Effect of Three Daily Servings of Full-Fat Dairy for 12 Weeks on Body Weight, Body Composition, Energy Metabolism, Blood Lipids, and Dietary Intake of Adults with Overweight and Obesity. The Journal of Nutrition. https://doi.org/10.1016/j.tjnut.2026.101373.
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