<アジアの「盟主」の立場の維持に血道を上げる、これまでのマインドセットは捨てる時が来た>
「韓国・台湾が今年上半期、共に日本を輸出額で上回った」という報道に、筆者は傷口に塩を塗り込まれたような苦痛を感じた。140年前には福沢諭吉が「脱亜論」を唱え、その後はアジアで覇を唱えた日本。敗戦で悔い改め(させられて)、今度はアジア諸国に資本・技術を提供し、アジア諸国の発展を先導した日本。それが今では、何から何まで地位を奪われてしまったのか?
いや、自虐的に考えるのはよそう。高度成長時代の日本は、輸出にその成長の多くを負っていた。今の韓国も輸出がGDPの44%相当、台湾は65%相当もある。一方、日本は全体のGDPが大きくなったこともあり、23%にしかならない。つまり日本は、機械や素材、電子部品など、まだ優位にあるものの輸出で貿易収支を維持し、円の価値を維持できれば、後は内需拡大で生活水準の向上を図ることができる。
韓国、台湾のみならず、ASEAN諸国までもが力を付けてきたこの新しい時代、日本はアジアでの「家門」を維持することに血道を上げるような、これまでのマインドセットを卒業するべきなのだ。ひとことで言えば、「日本はアジアで偉ぶらない。同質性・近代性を強めてきたアジア諸国の中で、一種の『幹事』役として他と肩を並べてやっていく」ということだ。
アジアで平和を維持するためには、「おそらくどの国も(中国も含めて)他国を武力侵略できるとも、どこかが攻めてきても本気で守ろうとも思っていない。大国も、おそらく本気で助けようとは思っていない。どの国も実際には、現在の枠組みの中で利益を確保していくのが一番いい。世界が見つめるなかで、武力侵攻に失敗して恥をかくような事態は避けたい」のが本音だろうことを、うまく見据えることだ。