Chris Kirkham Marie Mannes
[6日 ロイター] - オランダ道路交通局(RDW)は米電気自動車(EV)大手テスラの運転支援システム「フル・セルフドライビング(FSD)」を承認したが、企業秘密を理由に安全だと判断した根拠や評価方法を公表していない。FSDを巡っては、米国で関連事故に対する調査や訴訟が続いている。
RDWは4月、FSDが「他の運転支援システムより安全だ」との結論に達したと発表した。6月には「少なくとも他の運転支援システムと同程度に安全だ」との見解を示した。いずれの主張についても裏付けとなるデータや証拠を示していない。
RDWは現在、FSDの欧州連合(EU)全域への導入を求めている。EUの承認には加盟国の55%以上が賛成し、その人口がEU域内の65%以上を占める必要がある。採決は10月に行われる可能性がある。
ロイターが情報公開請求を通じて入手したRDWとテスラの電子メールによると、テスラは2024年末以降、FSDの安全性審査に関する文書を非公開とするようRDWに働きかけてきた。
RDWはロイターに対し、テスラの要請を受けて情報を非公開にしているのではなく、企業秘密をどう保護するかは自ら判断していると説明した。
ロイターが5月に公表した調査報道によると、テスラが独自に公表しているFSDの安全統計は大幅に誇張されており、大規模に提供できる段階にはほど遠い。ロイターは6月、テスラが承認を得るため、米国でのFSDの安全性に関する水増しされたデータをRDWを含む複数のEU規制当局に提供していたと報じた。
RDWは、テスラの統計には依拠せず、試験コースや公道でさまざまな条件下で独自に「広範な試験」を実施したと説明したが、性能や安全性をどう測定したかは明らかにしなかった。
RDWからFSDの試験に関する一部の情報提供を受けている他の欧州規制当局も、秘密保持について同様の姿勢を示している。ドイツ、ノルウェー、デンマークを含む欧州6カ国の規制当局はいずれも、企業秘密への懸念からFSDの試験や性能に関するデータは公表できないとロイターに述べた。
欧州の車両安全法の専門家は、RDWが企業秘密を理由にあまりに多くの情報を伏せており、公共の安全を損なう恐れがあると指摘する。
欧州の自動運転規制の策定に携わったリーズ大学のオリバー・カーステン教授(交通安全学)は、RDWの試験内容やテスラの性能に関する詳細は、広く公共の利益に関わる問題だと述べた。同氏は「公表できない理由は見当たらない」と語った。