Max Hunder Daniel Flynn

[4日 ロイター] - ウクライナでドローン(無人機)やミサイルを製造するファイア・ポイントのイリーナ・テレフ最高経営責任者(CEO)は、同社が欧州各国と進める弾道ミサイル迎撃システム「フレイヤ」計画について、欧州防衛企業13社とレーダーや誘導装置などの供給で合意し、各種システムの統合作業を開始したと明らかにした。

ウクライナはロシアの弾道ミサイル迎撃能力の確保を急いでおり、フレイヤ計画は先月にパリで、10カ国政府とユーロサム、レオナルド、タレス<TCFP.PA、サーブなど防衛企業12社が参加して発足した。

ウクライナ軍は現在、弾道ミサイル迎撃に米国製防空システム「パトリオット」を主に使用しているが、イランを巡る紛争の影響などで迎撃ミサイルの不足が深刻化し、防空体制の強化が課題となっている。

テレフ氏はロイターに、必要なパートナー企業との役割分担や参加条件について「ほぼ全ての合意が成立した」と述べ、2027年半ばまでに初の迎撃成功を目指す考えを示した。

ファイア・ポイントは迎撃ミサイルとして、自社開発の弾道ミサイル「FP7」を高速化した「FP7.X」を提供する。同社は現在、誘導装置(シーカー)や監視レーダー、追尾レーダーとの統合作業を進めているという。

ノルウェーのコングスベルグが各種システムを統合する指揮統制センターを担当。業界専門誌によると、ドイツのディール・ディフェンスが誘導装置を供給する見通しだが、同社は協議を認める一方、詳細についてはコメントを控えた。

テレフ氏の説明では、迎撃ミサイル1発当たりの目標製造コストは100万ユーロ(120万ドル)未満で、パトリオット迎撃ミサイルの4分の1から6分の1程度に抑えることを目指している。

同氏は「通常20─30年かかる計画を、わずか数年で実現しようとしている」と述べ、迎撃ミサイルはこれまでに少なくとも5回の試験を実施したと明らかにした。

フレイヤ計画ではオープンアーキテクチャー(共通規格型のシステム)を採用し、サーブ製やワイベル製など異なるメーカーのレーダーを柔軟に組み合わせられる設計とする。参加企業数は将来的に約20社へ拡大する可能性があり、生産能力向上につながる見込みだ。ファイア・ポイントはウクライナ国営ミサイルメーカーとも協議を進めているが、企業名は公表していない。

研究開発費は参加企業が負担し、弾道ミサイル迎撃に成功した段階を「最低限実用可能な製品(MVP)」と位置付ける。発射機には4-6発の迎撃ミサイルを搭載する計画で、1回の発射で迎撃に成功すれば大きな成果になるとしている。

一方、FP7には地上攻撃用もあり、これまで約15回の試験発射を実施した。現在はウクライナ国防省の認証手続きが進められており、テレフ氏は2-4週間以内の完了を見込んでいる。同社はこのFP7を初秋にも実戦投入したい考えで、さらに大型の弾道ミサイル「FP9」についても晩秋の実戦配備を目指す。FP9はモスクワへの到達能力を持つとしている。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。