AI相場を力強く牽引してきた半導体メモリー関連株が、7月は大きな調整局面を迎えました。年初来で驚異的な上昇を記録していた米マイクロン・テクノロジーをはじめ、韓国のSKハイニックスやサムスン電子など、業界を代表する大手企業の株価が軒並み急落し、市場に動揺が広がっています。
データセンター向けHBM(高帯域幅メモリー)の需要自体は依然として強力ですが、一方で、メモリー市況特有の循環リスクやマクロ経済の不透明感が意識され始めています。この急落は押し目買いの好機なのか、それともバブル崩壊の予兆なのか、市場の関心が集まっています。
マイクロン急落の背景にある複数の逆風
マイクロン・テクノロジー<MU>の株価は、6月後半に1,255ドルを付けて以降は下落基調となり、7月23日には一時1,000ドルを回復したものの、その水準を維持できずに大きく反落しました。この下落の背景には、主に2つの懸念材料があります。
第一に、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に対する警戒です。金利の高止まりや利上げ観測は米国債の利回りを押し上げ、高成長を期待されるハイテク株のバリュエーションを圧迫します。
さらに、高金利は消費者の支出を抑制し、スマートフォンやパソコンの買い替えサイクルを遅らせることで、汎用DRAMやNANDフラッシュメモリーの需要を減退させる懸念材料となっています。
第二に、大口顧客であるアップルを巡るサプライチェーン転換の観測です。アップルは自社製品向けのメモリー調達に苦心しており、一部報道によれば、海外向け製品において中国メーカーの長鑫存儲技術(CXMT)や長江存儲科技(YMTC)からの調達を検討しているとされています。
これが実現すれば、マイクロンのアップル依存度はかえって裏目に出る恐れがあります。
■韓国勢との熾烈なHBM競争
AI市場の拡大に不可欠なHBM分野では、韓国勢との競争も激しさを増しています。
現在、HBM市場で圧倒的首位に立つのはSKハイニックスです。出荷シェアは約58%に達し、営業利益率も76%と極めて高水準を維持しています。エヌビディアの次世代AIアクセラレータ向けでも優位な立場を確保しています。さらに、今年後半にはアメリカ市場へのADR上場も計画しています。