Marc Jones

[ロンドン 28日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は28日、人工知能(AI)ブームにより、中央銀行が経済状況を判断し金利を設定することが著しく困難になる可能性があるという見解を示した。AIが需要と供給の両方を同時に押し上げるためという。

BISはAIの経済的影響に関する報告書で、幅広い分野で生産性向上が顕在化するはるか前に、AIが投資、貿易、金融市場に強力な影響を及ぼしているとし、政策当局者は極めて難しい課題に直面していると指摘した。

現在、債務による資金調達が増加しているAI関連投資の拡大は、すでに経済活動や貿易を押し上げ、株式市場の上昇に拍車をかけており、これらはいずれも短期的なインフレ圧力の高まりにつながる可能性がある。

一方で、AIは最終的には生産性や生産能力を向上させ、供給を拡大し、インフレ抑制に寄与する可能性もある。政策当局者にとっての課題は、こうした恩恵の規模、時期、分布が依然として極めて不確実であるという点だ。

BISは「AIは需要と供給に同時に影響を及ぼすことで、景気循環のシグナルを不明瞭にする」と指摘。これが中銀による基調的な経済状況の評価や金融政策の調整を複雑にしかねないと警告した。

BISはまた、AIが各国や労働市場に及ぼす影響が一様でない点も強調した。半導体や計算インフラ、AI関連サービスの主要な供給国は、より力強い成長を享受する可能性がある一方、他の国は後れを取る恐れがある。

こうした格差は、インフレや成長軌道の違いを生み、各国・地域の金融政策運営を一段と複雑にしかねない。

BISは具体的な政策提言には踏み込まなかったものの、「政策調整ミス」のリスクを避けるため、中銀は一時的な投資ブームと持続的な生産性向上を見分ける必要があるとの認識を示した。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。