バイアグラの有効成分「シルデナフィル」の効果は、勃起不全(ED)の改善だけではないかもしれない。イスラエルのワイツマン科学研究所が発表した最新研究によると、がん細胞が他の臓器へ転移するのを防ぐ可能性があるという。

がん細胞は腫瘍から離れて体内に広がる際、コレステロールを頼りにしている。シルデナフィルはこのコレステロールの利用を妨害するようだ。世界で広く使われている薬に新たな役割が見出された形であり、コレステロールを下げる「スタチン系薬剤」と組み合わせることで、さらに高い効果が得られる可能性も示唆されている。

臨床腫瘍学専門医のマイク・ラタンジは、シルデナフィルのようなPDE5阻害薬が、がん細胞のコレステロール代謝を変化させているようだと本誌に語った(ラタンジは本研究には参加していない)。

「今回の研究で、シルデナフィルによってコレステロール代謝が変化すると、がん細胞はスタチンのような薬の影響を受けやすくなり、細胞の増殖や腫瘍の成長が抑えられることがわかった」とラタンジは説明する。

一方でラタンジは、今回の結果は細胞やマウスを用いた前臨床段階のものであり、臨床応用にはヒトでの検証が必要だとも指摘する。

シルデナフィルとロバスタチンなどのスタチン系薬剤は、多くの人がすでに日常的に服用している点にラタンジは期待を寄せる。「この併用で抗がんの相乗効果が得られるという説は妥当性がある」

しかし、最終的には臨床試験や患者の追跡調査でヒトへの有効性を実証する必要があり、バイアグラなどを用いたがん予防戦略の確立には相応の時間を要すると指摘している。

がん細胞がコレステロール不足に
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