Yantoultra Ngui Selena Li

[シンガポール/香港 27日 ロイター] - 低価格商品を扱う中国発のインターネット通販サイト「SHEIN(シーイン)」が計画している香港での新規株式公開(IPO)を巡り、投資家は同社が目指す400億―500億ドルの企業価値が正当化できるかどうかを精査するとみられる。

シーインが26日に提出したIPOの目論見書によると、2025年通期の売上高は前年比8%増の418億ドルとなった一方、純利益は39%減の20億6000万ドルに落ち込み、今年第1・四半期は9900万ドルの赤字に転落。成長の鈍化と収益性の大幅な低下が明らかになった。

中国の政府系投資会社、中国投資有限責任公司(CIC)の元マネージングディレクターで、グローバル・パブリック・インベストメント・ファンズ・フォーラムのエグゼクティブディレクターを務めるウィンストン・マー氏は「香港証券取引所の機関投資家は、営業利益率2.9%に注目するだろう」と指摘。「投資家はシーインを、超高成長のテクノロジープラットフォームという位置付けから、世界貿易の摩擦が高まる中で事業を展開する小売り・物流企業へと評価し直すことになるだろう」と述べた。

利益率の縮小は、シーインの急成長が逆風に直面しているとの懸念をさらに強めている。貿易コストの上昇、規制当局による監視の強化、世界の電子商取引市場における競争激化が業績の重しとなっている。

シーインは米国が「デミニミス(少額輸入免税)」制度の適用を終了したことが売上高の伸びを圧迫し、費用を押し上げたと説明している。また欧州が導入する低価格輸入品への新たな手数料も、さらなる課題となる。

シティは顧客向けノートで、シーインが欧州で逆風に直面することにより、低価格帯での競争圧力が低下し、英食品大手アソシエイテッド・ブリティッシュ・フーズ(ABF)傘下の衣料品チェーン「プライマーク」やスウェーデンのH&Mにとっては追い風となる可能性があるとした。

目論見書によると、シーインの企業価値は、2022年の資金調達ラウンド後の982億ドルから、24年の次の資金調達ラウンド後には640億ドルに低下した。

北京を拠点とするブティック型投資銀行シャンソン・アンド・カンパニーのシェン・モン取締役は「香港のIPOでも、流通市場でも、シーインの企業価値が前回の非公開での資金調達ラウンドと比べて大幅に上昇する可能性は低いと考える」と述べた。

電子商取引業界のアナリスト、ユオザス・カジウケナス氏は「数年前にロンドンかニューヨークでIPOを実施していれば、もっと楽観的な展開になっていただろう。今では市場環境がシーインにとってはるかに厳しくなっている」と指摘。「成長鈍化に対する解決策が示されていない」とも述べた。

カジウケナス氏によると、シーインの米国での売上高は25年以降縮小している。また関税変更の影響で欧州での成長も鈍化しており、両地域での売上高は当面、停滞が続く可能性が高い。「シーインの短期的な成長は欧州でも米国でもなく、『その他の地域』の国々で実現することになるだろう」という。シーインは米国、欧州の両市場で世界売上高の50%超を占める。

またグローバルデータ・リテールのニール・サンダース氏も、シーインは初期のころに見せたような並外れた成長を実現するのは難しいとみている。上場自体は投資家の関心を集めるとの見方を示しつつ、「数年前のように、もはやファッション業界で圧倒的な存在ではない。そのため企業価値は2020年代初頭のピーク時を大幅に下回ることになる」と予想している。

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