写真と衛星データは高校の教育現場でも

 油井さんの写真と衛星データについては、高校の教育現場でも使われているそうですね。油井さんは、宇宙で撮影した写真を「アースダイアリー(Earth Diary)」というサイトで誰もが見られるようにしてくださっているのですが、地上の研究者の方が、アースダイアリーの写真と衛星データと組み合わせると、こんなふうに多方面から地球を見られるんだよ、というような授業をしていると聞いています。

油井 宇宙での写真の大部分は趣味で撮ったものなのですが、そういう形で使っていただけることに感謝しています。それから、前回のミッションで述べた自分の言葉が、最近、国語の教科書に載り試験にも採用された、とも聞いています。私が想像しなかったようないい形で、色々な方に宇宙を知ってもらえることは、本当に嬉しいですね。

ISSでの生活は被災地での生活と似ている

 油井さんの宇宙活動の活用は、地上に戻られてからもさらに広がりを見せているのですが、今後の展望を教えていただけますか。

油井 ご存知の通り、私は地球帰還が予定よりも1カ月ほど早くなってしまったので、本当はISSから今回コラボしたCONSEOや防災科研と通信イベントをやろうと思っていたのですが、できませんでした。だからその代わりに、地上でコラボ企画を伝えるイベントができるといいなと思っています。

それに、とくに防災科研とは、むしろこれからが協力関係を本格化させていけるのではないかと思っています。

ISSでの生活って、実は被災地での生活と結構似ているところがあるんです。例えば、プライバシーが少ないこととか、食べ物もあるものしかないとか、お風呂も当然入れなくて体を拭くだけとか。

私は、そういう中でも、ストレスを溜めずに生活をすることがまあできているのですけど、もしかしたらそういう知見を今後の被災地生活に活かしていけるのではないかな、と期待しています。

例えば、私たちは宇宙に行く前に宇宙食を試食して、自分の好きなものを選んで持っていくのですけれど、だからこそ、本当に疲れてしまっているときに、美味しいものを食べて、また士気を上げることができるんです。

防災食もたぶん同じではないかと思います。ただ無造作に買って置いてあるだけだと、「いざ被災した時に食べてみたら、あまり美味しくなかった」と、がっかりしてしまうことも多いと思うんですよね。だから防災食も、宇宙飛行士が宇宙食を選ぶのと同じように、事前に試食をして美味しいと思えるもの、被災した自分を励ませるような美味しいものを蓄えておくべきだと思います。

 気持ちが凹んでいる時に美味しいものを食べると「ああ、生きていて良かった」と思ったりしますものね。

本日は、油井さんが自ら提案した宇宙飛行士と地球を見守る衛星とのコラボレーションの成果から、宇宙飛行士の生活の知恵を私たちが被災したときに活用するお話まで、盛りだくさんの内容を伺えて楽しかったです。ありがとうございました。

◇ ◇ ◇

インタビュー内で言及されている「地上で行う、油井さんとJAXA、CONSEO、防災科研とのコラボレーション企画を伝えるイベント『My Earth文化祭』」が25日に都内で開かれます。

JAXAのYouTubeチャンネルでも配信されアーカイブも残るので、このインタビュー記事で油井さんの活動や想い、地球観測衛星や防災に興味を持った方はぜひご覧ください。

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