台風の脅威、防災意識を真の意味で広めたい
油井 例えば、台風の目や台風のすごく分厚い雲なんかを宇宙から写真で撮ると、美しいのと同時に、脅威を感じます。写真をSNSなどで共有すると、色々な方にその様子を知っていただき、たくさんのコメントをいただきます。
ところで、JAXAには今、「しずく」とか「はくりゅう」などの、雲の動きや水の循環をしっかりと見ることができる衛星があります。だから、もしかしたら、私の写真とそれらの衛星が観測したデータを合わせたら、もっと皆さんに真の意味での台風の脅威であるとか、防災への意識というのが、ますます広まっていくのではないかな、と思って、CONSEOや防災科研にコラボレーションをしようと声をかけさせていただきました。
茜 衛星が観測したデータとコラボレーションするということで、油井さんが宇宙で写真を撮影するときに、前回よりもこういう点に気をつけた、ということはありますか?
油井 今回は宇宙に行く前に「協力をしましょう」と打ち合わせができていたので、「衛星地球観測の観点からは、宇宙からどんな写真を撮ってほしいですか?」というような話を事前にしておきました。そこで、例えば「アマゾン領域の森林伐採エリア」というふうにターゲットを聞いていました。
実際、ISSにはアプリケーションがあって、ターゲットを事前に登録しておくと、ISSは何時にその上空を通過して、どの窓からどのように見えるかというのが分かるんです。そして設定すると何分か前に「もうすぐ通りますよ」と知らせてくれます。そういうアプリを有効活用して、逃すことなく写真を撮ることができました。
それから、今は地球から宇宙にいる私にeメールを送れるので、何か突発的に地上で起こったことで、衛星データと私の写真を組み合わせると価値が生まれそうだなというものについて「撮ってください」とメールで依頼を受けて、私がタイミングを図って撮影する、ということもやりました。
最も印象に残っているコラボ
茜 実際のところ、衛星地球観測部門から事前に油井さんに撮ってくださいというオーダーに基づいたものが大半だったのですか? それとも、油井さんが撮影した写真が先にあって、後からそのときの衛星データを調べて組み合わせるという作業も多かったのでしょうか。
油井 もともとのターゲットにはなくて、私が撮った写真からやっていただいたものもありました。例えば、オーストラリアの森林火災は突然起こったものですから、事前には分からず、当然ターゲットにはなっていなかったです。だから、私が写真を撮って、その後に衛星データを付けていただきました。
それから、台風も当初はいつ発生するか、いつISSが台風の上空を通るかは分かりませんでしたから、私が写真を撮って、その後、地上の研究者が衛星の観測データを探したり、あるいは両方並べXに投稿してもらったりしました。