「恐怖を感じる一方、ちょっと綺麗に感じることも」
茜 油井さんにとって、この「地球を共に感じよう」の企画で一番印象に残っている衛星データとのコラボレーションはどれですか。
油井 そうですね、やはり今お話しした、私が撮影した台風の雲と衛星データを合わせたものでしょうか。
茜 こちらの投稿ですか?(とXの投稿を提示する)
油井 ああ、そうです。これは本当にまさに狙っていたというか、「そういうことができるといいな」と思っていることができたので、本当に良かったなと思っているものです。
茜 こちらのコラボレーションは、まず油井さんが台風を撮影して、その後に地上の研究者が、はくりゅうとひまわりの衛星データを付けたのですか?
油井 両方です。まず、ちょうど台風の直上を通ったので撮影して、地上から「次に通った時に、こういうタイプの写真が撮れませんか?」という依頼もありました。
茜 私は、油井さんのこの写真に衛星データを組み合わせた研究者にもお話を伺う機会があったのですが、その方も「油井さんの写真に、どんな良い衛星データを付けることができるのか」とワクワクしながら探して、ピッタリのものを見つけられてとても嬉しかったそうです。宇宙から見た3次元の台風にとても感動したともおっしゃっていました。
油井 嬉しいですね。台風の目の部分、あの雲の壁は、実際に見るとすごく分厚くて、「すごい風が、ここには吹き荒れてるんだろうなぁ」というのがよく分かりました。恐怖も感じますし、一方でちょっと綺麗に感じることもあって、複雑な感想を持ちました。
モチベーションの源泉はどこに?
茜 話は変わりますが、油井さんはこの「地球を共に感じよう」の企画を、微小重力下の実験、ISSの日々のメンテナンスといった定められた仕事以外の時間、いわば余暇を使って行いました。
余暇を利用するとはいえ、宇宙飛行士が積極的に自ら宇宙で行いたいこと、特に地上の科学者との共同プロジェクトを提案し連携するというのは、これまで日本ではほとんどなかったと思います。前例がなく、かなり大変だったと思うのですが、それを切り開いた油井さんのモチベーションは、どういうところにあったのですか?
油井 私は、1回目のミッションでは、仕事はもちろん頑張ってやりましたけれど、周囲には本当に助けていただくだけで、自分としては何もできなかったという思いがあります。
だから2回目のミッションは、色々な方々になんとか恩返しがしたいなと考えていました。だから、言い出せないだけで、もしかしたらJAXAの中、あるいはJAXAの外にも、「宇宙飛行士に協力してほしいな」というアイデアを持っている人がいるのではないかと思っていたんです。