Balazs Koranyi Francesco Canepa

[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が、準備預金の超過準備部分に対する支払利息(付利)の増大で生じる損失を軽減するため、複数の選択肢を検討している。事情に詳しい関係者4人が明らかにした。

ただ政策担当者の間では意見が分かれており、本格的な議論は今秋にも山場を迎える見通しだ。

ECBのラガルド総裁は23日、銀行に義務付けている最低準備預金率の引き上げについて政策担当者らが協議することを認めた。準備預金率を引き上げれば、銀行は流動性危機に備えて中央銀行により多くの資金を無利子で預ける必要がある。それによって超過準備は減少する。

関係者の話では、このほか超過準備の一部に対する利払いを停止する案や、手数料を課す案も浮上している。いずれもECBとユーロ圏各国の中央銀行が負担する利払いコストを抑え、過去の金融緩和策の結果として生まれた損失の縮小につながる。

ECBの広報担当者はコメントを拒否した。

ユーロ圏の市中銀行は現在、銀行は預金など短期負債の1%を最低準備として各国中銀に預ける義務があり、この資金には利息が支払われていない。ロイターの試算に基づくと、準備預金率を2%へ引き上げれば、ECBとユーロ圏各国の中銀は年間約40億ユーロのコスト削減効果を得られる。

一方ECBは最低準備を上回る超過準備に対して年2.25%の預金金利を支払っている。超過準備は2兆ユーロ超に上り、各中銀を含めた利払い負担は年間約500億ユーロに達する。

こうした中で超過準備の一部を無利子とする「階層別付利制度(ティアリング)」の導入も選択肢の1つとされる。ただ流動性の少ない銀行が資金を他行へ移すことで利払いを受けられるようになれば、ECBと各中銀全体の利払い負担が想定ほど減らない可能性があるという。

さらに最低準備制度自体を廃止し、代わりに銀行へ手数料を課す案も議論されている。

これに対してECB内では、損失削減を目的に準備預金制度や利払い制度を変更することに慎重な意見もある。中銀の損失は本来、金融政策というより財政上の問題との見方があるためだ。中銀の収益が悪化すれば、各国政府への納付金が減少し、極端な場合は政府による資本注入が必要になる恐れも出てくる。

ECBと各国中銀の損失は、2015-22年に実施した大規模な量的緩和策に起因する。当時購入した国債の多くは低利回りまたはマイナス利回りだったが、その後インフレ抑制のためECBが22-23年にかけて大幅な利上げを実施した結果、国債購入によって膨らんだ超過準備に対する中銀の利払い負担が急増した。

もっとも保有国債の償還が進んだことで市中の余剰資金は減少しており、準備預金の利払い見直しを急ぐ必要はないとの声も一部の政策担当者から聞かれる。

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