Patricia Zengerle

[ワシントン 22日 ロイター] - 米議会下院は22日、2027会計年度の国防権限法案(NDAA)を賛成216、反対212の僅差で可決した。法案は過去最大となる総額1兆1500億ドルの防衛支出を認める内容で、野党民主党は歳出規模の大きさや対イラン軍事作戦、イスラエルとの軍事協力強化などを理由に強く反対した。

民主党が異を唱えたのは、トランプ大統領と共和党が社会保障関連などの歳出削減を進める中で、防衛費だけ大幅に増額しようとしている点だ。また国防総省がこれまでの費用を375億ドルと算定している対イラン軍事作戦への懸念も示した。

一方共和党は、対イラン軍事作戦の継続や防衛システム開発、装備調達のために大規模予算が必要だと主張。最大7%の給与引き上げや兵舎・軍人家族向け住宅の整備を含めた軍人向け待遇改善も法案に盛り込まれていると説明した。

法案には米国とイスラエルの軍事技術協力を大幅に拡大する条項も盛り込まれた。パレスチナ自治区ガザでの軍事行動による民間人被害を理由にイスラエル支援の見直しを求める声が高まる中、この条項についても民主党内から反発の声が上がった。

NDAAは超党派で成立する「必須法案」と位置付けられ、過去65年間にわたり毎年成立してきた。しかし今年は国防予算の規模や対イラン政策、イスラエル・ウクライナ支援、トランスジェンダー兵士を巡る問題などで議会内の対立が激化しており、成立への道筋は険しい。

さらに下院共和党は、トランプ氏が支持し、投票資格の厳格化を目指す「セーブ・アメリカ」を法案に付加して上院へ送付した。このため十分な賛成票を確保できていない同法案が、NDAA審議の障害となる可能性も指摘されている。

上院では先週、民主党が上院版NDAAの審議前進を阻止。共和党指導部は8月の休会前に再び法案成立に向けた手続きを進める方針だ。

NDAAを巡っては今後、上下両院がそれぞれ可決した法案を土台として協議を行い、最終的な一本化案を作成する。その後、上下両院で改めて採決され、可決されればトランプ氏の署名または拒否権発動の判断に委ねられる。

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