Andrea Shalal
[ワシントン 22日 ロイター] - 世界銀行のチーフエコノミスト、インダーミット・ギル氏は米国とイランの衝突が激化すれば、インフレが再燃して金利が上昇し、世界経済の成長率が昨年の2.9%から1.3%まで落ち込む可能性があるとの見方を示した。21日のロイターとのインタビューで述べた。
イラン戦争を巡る不確実性の高さを踏まえ、世銀は6月の世界経済見通しで3つのシナリオを策定していた。ギル氏は敵対行為が半年以上続くという最悪のシナリオがすでに現実味を帯びつつあると指摘した。このシナリオでは、世界の総合インフレ率は4.5%に達する見通しだ。
戦闘の長期化と中東地域の石油インフラへの被害により、農業に必要な肥料、ヘリウム、硫黄の輸送が寸断され、食料不安が深刻化すると指摘。これが金利上昇を含む2次的な影響の連鎖を引き起こす恐れがあると警告した。
新型コロナウイルスのパンデミックから回復していない貧困国は一段と深刻な食料不安に直面する可能性があると述べた。債務水準の高い国は金利上昇で借り入れコストの増加に見舞われ、教育や医療などの重要サービスへの支出が圧迫されるとの見方を示した。
同氏は「政策金利の上昇はまだ始まっていないため、そうした状況に至るまでには数カ月の猶予があるかもしれない」と分析。いったんインフレが加速すれば、多額の債務を抱える国が返済で深刻な問題に直面するまで数カ月しかかからない可能性があると指摘した。
世銀の6月の予測では、低・中所得国の40%がすでに債務危機に陥っているか、そのリスクが非常に高い状態にあることが示されていた。ギル氏は該当する国が32カ国に上り、金利が上昇すれば急増する可能性があると述べた。また、債務不履行(デフォルト)を回避できても、長期的な成長見通しが低下する国も出てくる可能性があると語った。一部の国については個別に債務免除を行う必要があるだろうとした。
米国、中国、インドはそれぞれ回復力の源は異なるが、イラン戦争の影響を比較的免れていると述べた。一方、途上国はより大きな課題に直面しているとした。
途上国は人工知能(AI)がもたらす生産性向上の恩恵を受けられるとの見方を示した。「貧困国にとってAIは大きな利益となり得る」とし、「途上国は先進国よりもAIの影響についてはるかに楽観的であるべきだ」と語った。また、AIは成長率を数十年ぶりの水準にまで回復させる可能性を秘めているが、それはおそらく2020年代中には実現しないだろうと話した。
ギル氏は8月末で退任する。