大手出版社の編集者だった年上の友人は戦争映画が大好きだと公言している。ただし彼はサブスクは一切利用していない。昔からテレビもほとんど観ない。映画を観るときはスクリーン、そして市販のDVDだ。1000枚以上は持っているらしい。初夏の夕暮れ、ビールを飲みながら、その彼からふと質問された。

「『眼下の敵』は当然観ているよね」

「観てないです」

「観る価値のない映画はたくさんある。でもあれは絶対に観たほうがいいよ」

同席していた映画プロデューサーも、大きくうなずきながら「確かにあれは観るべきだな」とつぶやいた。

観てはいないけれどタイトルは知っていた。古い映画だ。潜水艦の映画だったはず。だからこのタイトルだったと思う。知っていることはその程度。監督も主演俳優も分からない。でもタイトルだけは知っていたことが示すように、古典の名作であることは間違いない。

Uボート内の閉塞感と恐怖