<W杯北中米大会で予選敗退に終わった韓国代表。大統領が代表監督を「無能」と批判し、サッカー協会関係者の国会聴聞まで行われる騒ぎになったが、混乱の背景には「行き過ぎた民主主義」がある>

「能力よりも身内びいきや派閥を重視して無能な人物を指揮官に選べば、その結果は火を見るよりも明らかだ」

サッカー・ワールドカップ北中米大会で韓国代表の敗退後、李在明(イ・ジェミョン)大統領がSNSに書き込んだ内容だ。大統領自身による代表監督への「無能」という言葉を使った異例の批判は、日本をはじめ各国でも大きく注目された。

政界からの批判は李のみにとどまらなかった。与党「共に民主党」元代表の宋永吉(ソン・ヨンギル)は「韓国サッカーの最大の敵は大韓サッカー協会」と強く批判し、与党は洪明甫(ホン・ミョンボ)監督(6月28日に辞任)を含む、協会関係者に対する国会での聴聞会開催を決定した。

しかし、今回の韓国代表の成績は、歴代に比べてとりたてて悪かったわけではない。韓国のW杯出場は12回目。そのうちグループリーグを突破したのは、4強に進んだ2002年の日韓大会を含めてわずか3回だ。今回の韓国代表の大会直前の世界ランキングは25位。アジアの中でも18位の日本と20位のイランの後塵を拝していた。グループリーグの組み合わせはメキシコを除けば、ランキング下位のチェコと南アフリカと恵まれたものの、多くの人が02年の躍進を夢見ていた、といえば嘘になる。

にもかかわらず、韓国では代表チームの敗退が決まるや否や、協会や監督への猛烈なバッシングが吹き荒れた。そこには今の韓国が抱える固有の問題が凝縮されている。

「国民の命令」に従うべきという主張
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