ミトコンドリアの機能低下やタンパク質の品質管理機能の低下など、他の老化要素とは異なり、体細胞突然変異は現代の医療で修復できない。損傷は着実に蓄積し、細胞を更新できない組織では永久に残る。モデルが提示した事実は以下の通りだ。

  • 肝臓などの再生可能な器官:細胞が入れ替わり続けるため、数千年にわたる変異の蓄積にも耐えられる。
  • 脳や心臓の細胞:分裂しないため損傷を希釈できず、最終的に機能不全に陥る。

晩年に認知症や心不全が増えるのも、まさに再生できない組織が狙い撃ちにされるためだ。

ニューヨーク大学グロスマン医学部のジョーダン・ワイス助教授は、この分析をこう評価する。「認知症や心不全など、健康的で自立した暮らしを奪う病気は、再生不能な組織に集中している。寿命と健康寿命の乖離は、体全体の曖昧な衰弱ではなく、細胞を更新できない特定器官の機能低下が原因なのだ」

研究チームがまず想定した「老いない人間(死亡リスクが上がらないモデル)」の寿命中央値は1759歳だった。しかし、体細胞突然変異の要素を加えた途端、非再生組織の脆さゆえに寿命は156歳まで低下した。

他の老化プロセスを取り除いても上限値がほぼ変わらなかったことは、理論上の不老不死と現実の寿命とのギャップの約半分をこの突然変異が占める可能性があることを示唆している。

守るべきは脳と心臓の細胞DNA
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