存命中の指導者を硬貨に登場させた国は?
イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドをはじめ、多くの国では存命中の君主が硬貨に描かれており、新たに発行される硬貨ではエリザベス2世女王に代わってチャールズ3世国王の肖像が使われている。
この伝統は、選挙で選ばれた指導者や政治指導者が通貨に登場することとは異なる。君主は世襲の国家元首であり、硬貨の肖像も王位の継承に伴って変更されるからだ。
比較すべきは、存命中の政治指導者や統治者の肖像が、権力の座にある間に硬貨や紙幣、記念通貨に登場した事例だ。代表的な例は、フィリピンのフェルディナンド・マルコス、シリアのバッシャール・アル・アサド、ウガンダのイディ・アミン、マラウイのヘイスティングズ・カムズ・バンダ、イラクのサダム・フセイン、リビアのムアンマル・カダフィなどだ。
問題となっているのは、単に存命中の人物が通貨に登場することではない。現職のアメリカ大統領が、在任中にアメリカの公式硬貨に登場することだ。
アメリカは長年、公式硬貨に現職大統領を登場させることを避けてきた。例えば、ジョージ・ワシントンも、アメリカ初の1ドル硬貨に自身の肖像を載せることを拒んでいる。故人の肖像を用いる伝統は、アメリカが君主制を否定したこととイコールだったと考えていたからだ。
1866年のセイヤー修正条項は、存命中の人物をアメリカの「債券、証券、紙幣、郵便通貨」に登場させることを禁じた。また、2005年の大統領1ドル硬貨法も、いかなる硬貨にも、存命中の現職大統領または元大統領の肖像を使用してはならないと別途定めている。
ただし、この原則にも例外がある。例えば1926年には、カルビン・クーリッジ大統領をジョージ・ワシントンと並べて描いた50セント硬貨が発行された。
トランプ政権は、この硬貨について、アメリカ建国250周年を記念する硬貨の鋳造を米財務省に認めるため2020年に成立した「2020年流通収集用硬貨再設計法」に基づき発行が認められていると説明している。