トランプ政権にあらがうテック業界の象徴だったが

「倫理的なAI企業」や「消費者に優しいAI企業」といったブランドイメージを築くことは、極めて重要な意味を持つ。スタンフォード大学が4月7日に発表したAI指数に関する報告書によると、アメリカではAIに雇用を奪われると考える人が多く、他国よりAI利用には慎重だ。AIの規制に関して自国政府を信頼している割合も、調査対象国の中で最も低い。

アンソロピックやオープンAIが「善玉企業」のイメージを打ち出そうとする努力を、ありきたりなPR戦略と片付けたくなっても無理はない。だがAIに対する人々の評価が好転せず、その成長を厳しい規制で抑えることもしないなら、利用者から金を搾り取る企業の中でも、「まだまし」と思わせた企業に、莫大な利益が転がり込む。

一時は、その競争でアンソロピックは独走状態にあるように見えた。だがトランプ政権を相手に理念を貫こうとするテック企業も、結局はテック企業なのだ。

アンソロピックはこれまで、さまざまな層にさまざまなサービスを提供して好調を維持してきた。プログラマーには強力な開発ツールとなった。法人向け市場でも圧倒的な存在感を築いた。年間換算で100万ドル以上を同社製品に支出する企業は500社を超え、月額20ドルを払っている多数のユーザーには優秀なチャットボットとなっている。

トランプ政権が示すディストピア的な動きにあらがうテック業界の象徴にもなってきた。そして、それら全てを同時に支えられるだけの計算資源も何とか確保してきた。

その体制に今、ようやくほころびが見え始めている。その事実のほうが、むしろ驚きだ。

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