[モスクワ/キーウ 16日 ロイター] - ウクライナとロシアは16日、黒海とアゾフ海の船舶に対してミサイルとドローン(無人機)による攻撃を実施し、戦闘が激化した。両海域は穀物輸出に極めて重要な地域で、攻撃を受けて世界の小麦価格が上昇している。

ウクライナ軍は、ロシアの船舶少なくとも11隻を攻撃したと発表した。一方、ロシア国防省は、ウクライナ軍の船舶1隻と高速艇1隻をオデーサ地方の港に向かう途中に攻撃したと発表した。

ウクライナのドローン部隊司令官はテレグラムで、今回の攻撃対象は黒海とアゾフ海の石油タンカー5隻のほか、黒海のガスタンカー1隻、ばら積み貨物船3隻、タグボート2隻などだと述べた。同司令官によると、ウクライナ軍が今月攻撃した船舶が147隻に達した。

一方、ロシア国防省は、キーウの中・長距離ドローンの生産・貯蔵に関わる軍事・産業施設やオデーサとピウデンネの港湾インフラ施設を攻撃したと発表した。

ロイターは双方の説明内容を直ちに確認できていない。

ウクライナは7月初旬からアゾフ海の船舶を攻撃。司令官は15日、黒海のロシア船舶も標的とし始めたと述べた。ウクライナは、ロシア軍の物流を混乱させ、ロシアが併合したクリミアを孤立させる作戦を推し進めている。

ロシアは、オデーサ地域にあるウクライナの黒海深水港への攻撃を強化している。同地域の港はウクライナの穀物などの貨物の取り扱っている。

<船舶運航が大幅に制限>

複数の関係筋がロイターに語ったところによると、ウクライナの攻撃を受け、世界最大の穀物輸出国であるロシアはアゾフ海での船舶運航の制限を余儀なくされた。同航路はロシアの穀物輸出の約4分の1を扱っている。関係筋によると、16日も船舶運航は制限されたままだった。

ウクライナ国鉄によると、ウクライナが持つ黒海3港のうち2港は16日午前、通常通り稼働していたが、チョルノモルスク港は穀物の受け入れを大幅に縮小した。7月以降、90万1300トンの穀物が各港に向けて発送されたとし、「当然ながら、これは前月を下回る」と述べた。

ウクライナ当局によると、ロシアの弾道ミサイルが16日未明にキーウの少なくとも2区に着弾し、火災が発生して2人が死亡した。

ロシアの少なくとも3地域の当局も、夜間のウクライナのドローンとロケット弾攻撃による死傷者が出たと報告した。

<小麦価格が急騰>

欧州の小麦価格は15日、7%上昇した。黒海での攻撃激化で主要な穀物輸出路への懸念が高まり、トレーダーが需要の一部が欧州連合(EU)産に移るとみたためだ。

ユーロネクストの指標9月物製粉用小麦は、日中取引を7%高の1トン=231.75ユーロ(265ドル)で終了、2025年2月以来の高値となった。

シカゴ商品取引所(CBOT)の小麦先物は15日に5%急騰したが、16日早朝の取引では上げ幅を縮小した。

ウクライナの主要農業団体によると、ロシアのミサイルとドローン攻撃により、ウクライナは黒海の港を通じた穀物輸出能力の約3分の1を失っている。

ウクライナのシビハ外相は記者団に対し、黒海における航行の自由の回復を求め、「これはウクライナにとっても根本的な問題だ。黒海はウクライナ製品輸出の主要ルートであり、極めて重要だ」と述べた。

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