<約5年の間に日本円の価値は3分の2程度にまで下落し、物価高騰は進む一方――「円安で輸出企業が儲かる」では済まない深刻な事態>
日本円が重大な局面を迎えつつある。前回6月の金融政策決定会合と高市政権による「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」の原案策定をきっかけに、海外メディアの論調や市場の受け止め方が一変。日本円の価値が急激に毀損しているという共通認識が形成されつつある。このまま何も手を打たなければ、日本円は構造的要因を背景とした長期的な下落に見舞われ、日本の貧困化が一気に進む可能性がある。
ドル円相場は、2021年初頭から急速に円安が進み、1ドル=110円前後だった日本円は、既に160円台まで値を下げた。約5年の間に日本円の価値は3分の2程度まで下落したということであり、多くの日本人が物価高騰に悩まされている。
これまでの値動きは、日本経済の実力に比して高すぎた円価格の是正というニュアンスが強かったが、ここ2~3カ月で状況は大きく変わった。その最大の原因は、日銀の金融政策と政府の財政方針がクルマの両輪となり、円の弱体化を進める元凶になってしまったことである。
日銀は前々回4月の金融政策決定会合において、政府の要請を事実上、受け入れる形で利上げを見送った。だが債券市場はこの判断にノーを突き付け、長期金利が3%をうかがう状況となったことから、6月の会合では市場追認で利上げせざるを得なかった。だが日銀は、利上げを実施する一方で、国債の買い入れも継続するとの決定も行っており、市場は今後も円の大量供給が続くと判断。為替市場では円安の動きが鮮明となりつつある。