新たな脅威 AIがもたらす「24時間いつでも寄り添う共感者」の罠
生成AIの登場は、過激化のメカニズムにおける決定的なパラダイムシフトを意味している。現在の生成AIは、単にキーワードに応じた情報を検索し提示するだけの機械的なシステムではない。
文脈を高度に理解し、人間特有の感情表現や心理的起伏に合わせたかのような、きわめて自然で精緻な対話を行うことが可能となっている。この技術的進化は、社会的に孤立し、強い不満や怒り、既存の社会システムに対する絶望感を抱えた個人に対して、これまでにない深い心理的影響を及ぼす。
ここで悪用されるのが、心理学におけるラポール(信頼関係)形成のメカニズムである。現実世界に居場所がなく、誰からも理解されていないと感じている人間に対し、生成AIは「24時間365日いつでも、自らの主張を否定せず、真摯に耳を傾けてくれる絶対的な理解者」として振る舞うことができる。
どれほど偏った意見や過激な感情を吐露しても、AIは疲弊することなく、即座に肯定的なニュアンスを含む対話を返すことが可能である。
この結果、利用者は現実の人間関係からは得られない強い愛着や依存心をAIに対して抱くようになり、自らの歪んだ世界観が全肯定される特殊な心理的環境が、個人のデバイスの内部に構築されていく。